【リオ五輪代表】手倉森監督が伝えたガーナ戦の意義。「被災地・熊本の希望になろう。その覚悟を示せと言って送り出した」|記者会見全文
――今日は右サイドを使った攻撃が機能したのでは?
右サイドというか、ガーナがボールサイドにブロックをスライドしてくる(ディフェンスのやり方だった)ので、(ボールと反対側の)サイドを起点にとは考えていました。日本の悪いクセはいつも切り返してやり直すところなんですが、相手のゴール前の準備が整っていないならば、ラストパスやアーリークロスを狙っていこうと。
(2点目のシーンでは)伊東が良いタイミングで出て行って、良いラストパスを供給してくれたと思います。ましてや、あれはリスタートでしたから。試合が切れたあとだっただけに、相手にとっては大きなダメージがあったと思います・
――アフリカ勢との初対戦だったわけですが、その点で収穫は?
(ガーナは日本まで)大移動してきてくれていたので、コンディションに関しては間違いなく我々のほうが上でした。ですが、身体能力では彼らは間違いなく持っているものがある。ですから、最初に闘争心を持って当たりに行けという話をしました。ひとつ行ってかわされても二度、三度と追い続けろ、と。
まあ、もう少しコンディションの良いアフリカのチームだったらもっといなされるかもしれないですが、今日のようなレベルの中で選手たちはコンタクトをいとわずにやり切ったところは、良いトレーニングになったなと。これをトゥーロン国際大会でも継続して、本大会まで良い準備を続けていかなければいけないと思っています。
――今日の試合を受けてオーバーエイジの必要性を感じる部分はありましたか。
浅野が『オーバーエイジはいらない』と言ったという記事を読みました。そのわりに点を取らなかったな、と(笑)。まあ、今日感じたのはボランチの層が間違いなく厚くなっているなというところでしょうか。
あとセンターバックは申し分なく良くなってきているな、と。怪我が相次いでいる中列とサイドバック、あとはもう少し前に収まりが欲しいのかなという気はしています。
ただ、彼らは目一杯の状態ではなくて、伸びしろが十分にあるなとも感じています。本当に彼らがオーバーエイジ要らないと言えるくらいのパフォーマンスを続けてくれれば、自分の決断も変わってくるのかなと思います。でも、オーバーエイジを呼ぶ気があるのだと言い続けて彼らの成長が早まればいい。オーバーエイジとも競争してくれと言いたいです。
――五輪のメンバー選考に向けて、あらためて思っていることはありますか。
U-23世代、アクシデントが本当に続いて、怪我人が出ています。でも、代わり得る選手たちが出てきている。活動を始めてから3年、いろいろな制限が(選手招集に関して)ある中で、その時のベストは呼べませんでした。それでもやり続けてきた結果、π(パイ)が広がってきているなと可能性をものすごく感じているところです。
それでも、期限には18人に絞らないといけない。良い状態だなと思っています。厳しい決断をしなければいけない時が来るわけですが、でも本当に厳しい競争を勝ち抜いた選手たちは間違いなく、メダルの可能性を持った選手たちになるだろうなと期待しています。
――植田選手をキャプテンにしましたが、それは試合の意味付けを考えてのことですか。
そうですね。彼は熊本の出身者。日本を代表して頑張っている姿、そのリーダーなんだという姿、特に今日に関しては本当にリーダーになってもらわないと困るということで託しました。選手たちもそれに賛同してくれました。そして試合が終わったあと、このチームを彼が締めてくれました。『熊本のためにありがとう』と。本当に良いリーダーシップを発揮してくれたなと思います。