コンテンツフォルダ向けに展開した「Amazon Prime Video」から1年、Amazonがいよいよ個人向けにユーザー投稿型の動画マーケットに参入した。5月11日に発表された「Amazon Video Direct」はクリエイター向けのビデオ配信プログラム、GoogleがYouTubeで先行していたパートナープログラムと、がっつり競合する。

◎Prime Videoのユーザーを顧客にできるAmazon Video Direct
Amazon Video DirectはAmazon Videoに組み込まれた新しいプログラムだ。
クリエイターは、Prime Videoのユーザーに自分の作品を提供できる。
そして、視聴時間に応じた報酬や無料動画であれば広告収入、レンタルや販売などで収益を得ることができるというもの。

自分の国だけではなく、Amazon Videoが提供されているすべての国で公開できる(現在、米国、日本、ドイツ、オーストリア、英国から配信する国を指定できる)。対応デバイスはFire TV、Kindle FireからiOSデバイス、Androidデバイスをはじめとして、
もちろん通常のPCからブラウザ経由での視聴も可能だ。
Amazonのユーザーに対して、自分のコンテンツを展開することができる点が大きなメリットだ。

◎Twitterの中継アプリ「Periscope」
また、Twitterは昨年3月から提供している動画配信アプリ「Periscope」をアップデートした。
Periscopeは、スマートフォンだけで世界中の人にライブ配信することができるというもの。

すでにTwitterのタイムライン上では再生することは可能となっていた。
さらに今回、DJIのドローンカメラに対応し、ドローンカメラで撮影した動画をリアルタイム配信することができるようになった。
そのほか、
・検索ボックスから#Travelや#Musicなど、ハッシュタグを使ったカテゴリーでの動画検索
・#Saveをタイトルに入れることで、24時間以降の動画の保存(これまでのPeriscopeは配信から24時間が経過すると自動的に動画が削除されていた)
なども可能になっている。

◎視聴だけでなく、発信へと拡大する動画マーケット
昨年から定額制の動画配信サービスのスタートが相次いだ。
MMD研究所の『定額制サービスの利用実態調査』では、現在、定額制動画配信サービスを利用しているという人の上位3つのサービスは「Hulu」(43.3%)、「dTV」(33.9%)、「Amazon Prime Video」(27.2%)とのこと。
つまり、すでに3番手に位置し、多くの視聴者を保有するAmazonが、次の展開としてAmazon Video Directでクリエイター層を狙ったというところなのだ。

ライバルとなるYouTubeのパートナープログラムの収益メインが広告収入であるのに対し、Amazon Video Direct はストリーミング配信からも収益の対象になっている点がメリットだ。
YouTubeでは有料チャンネルがある。だが、これまで無料で視聴できたYouTubeでユーザーが課金するようになるには、もう少し時間がかかるだろう。
一方、Amazon Prime VideoではAmazon Primeのコンテンツと有料コンテンツがすでに混在しており、有料で利用する利用者も少なくないだろう。そうした土壌にコンテンツを展開できるというのは、YouTubeにない大きなメリットだ。

もうひとつのライバルTwitterの「Periscope」は、動画配信とは異なり、ユーザー投稿型の動画マーケットにフォーカスしている。ユーザー投稿型の動画サービスには、すでにニコニコ動画、YouTubeがあるが、ニコニコ動画はいまでは「すごい動画」を投稿する人とそれを視る人の2極化が起こっている。
それに対して、スマートフォンだけで手軽に配信・保存できるPeriscopeはかなり魅力的だ。

ちなみに、MMD研究所の先の調査の対象は「スマートフォンユーザー8271人に定額制サービスの利用経験を聞き、そのうち現在利用中の1725人」とのこと。定額制サービスの利用経験については、「定額制音楽配信サービス」が24.6%、「定額制動画配信サービス」が22.1%、「定額制電子書籍読み放題サービス」が15.3%(音楽配信と動画配信が電子書籍を一気に超えてしまっている)。

コンテンツのリッチ化はもはや止まらない。
動画マーケットをめぐる動きは、視聴だけでなく、発信する市場へと、今度もっと加速していくと思われる。


大内孝子