深掘りコラム : 食と化粧品、安全性と透明性の追求

以前にも増して、さまざまなシーンで食品類の産地表示を見ることが多くなりました。スーパーの野菜売り場はもちろんのこと、お気に入りのビストロや寿司屋。野菜はもちろん、肉や魚まで産地を明確に説明してくれるように。地方へ行けば、地産地消はあたりまえ。どこで誰が、どうやってつくっているのか、情報提供する側の誠意は、まるで秘伝の調味料のごとく。安心感や透明性が高まるほうが、より美味しく感じるのだから不思議です。

化粧品も産地表示をするように!


じつはこの傾向、食だけでなく、化粧品業界にも広く浸透しつつあります。オーガニックコスメの多くが世界基準の有機認証マークや食品グレードであることを掲げ、また、数々の化粧品ブランドが、配合成分の産地を公表するようになりました。

スイスアルプスのエーデルワイス、フランス ブルターニュ産の海洋成分、マダガスカル島産のバニラ、中国 雲南省のオーキッドなど、最初はその稀少性を重んじてのことだったのでしょう。でも、今ではその稀少性はもちろんのこと、目に見える安心感への配慮として欠かせない重要なプレゼンテーションになっているのが今の時代。

私自身、スイスにあるオーキッドのプランテーションや、ドイツの白樺、モロッコのアルガンオイルなど、数え切れないほどの現地取材を経験してきました。ある国産化粧品ブランドが独自にハーブの研究所を開設したと聞いて、はるばる白神山地にある農園までおしかけて行ったことも(笑)。ごく最近では、沖縄まで長命草を見にいき、口にしてきたばかりです。

より開かれた世界へ。化粧品の未来は?


でも、実際に目で見て触れ、感じることで、ユーザーとしての視点はより明確に。自然環境のシビアな実態やそこに関わる人々の熱い思いなど、ジャーナリストとしてこの事実を多くの方に伝えなければ! と思うようになったのも、これらの経験のおかげです。

口にするもの同様に肌に与えるものの背景をきちんと知らしめる、きっとこの傾向は今後も続くでしょうし、効果実感や満足感を高めるために欠かせない条件になっていくはず。つまりは、顔の見えるモノづくりこそ、スタンダードに。もはや化粧品開発は、顕微鏡の中だけでなく、大地を、そして天体のリズムを感じながら極めていく、地球規模の大きなプロジェクトなのです。

個人的にも、生産環境や実態を現地まで出向いて取材する機会があれば、行かせて欲しいと切に願うばかり。そして、『化粧品開発は自然の恩恵を受けながら、透明性と安全性にこだわる人々のたゆまぬ努力によって成り立っている』のだということを、多くの人に伝えられればと思っています。

 


この記事を書いた人
安倍佐和子/ビューティジャーナリスト

大学卒業後、化粧品メーカーの宣伝制作室に入社。留学を経て出版社に転職し、編集者としての活動をスタート。美容専門誌『VOCE』(講談社)の創刊準備から関わり、その後独立。現在は、『VOCE』『MAQUIA』『GINZA』『FIGARO Japon』『Precious』などの女性誌などで連載、執筆&編集を行うほか、広告やイベントなどさまざまな媒体でも活躍中。また、ホメオパス、フィトテラピーアドバイザーの資格を有し、代替医療の分野にも精通。著書『人と比べない美人力の磨き方 安倍佐和子のMy BEAUTY Rules』(講談社刊)