インタビューに臨むスーパー・ササダンゴ・マシンさん
 ビジネスマンにとって必要不可欠なスキル、それは「プレゼン力」だ。

 競合他社とのコンペで自社への受注をもぎとらなければいけない企画職や営業職はもちろんだが、定例の社内会議で自分の意見を通したいとき、稟議書の部長決裁にハンコがほしいとき、社食のおばちゃんに新メニューを取り入れてほしいとときなど、ビジネスマンの生活は日々プレゼンテーションの連続といえる。そんなとき、口下手でアドリブに弱く議論が苦手な、いわゆる「コミュ障」の人は圧倒的不利を強いられてしまうだろう。

◆“コミュ障”こそパワポでプレゼンを!

 しかし、そんなコミュ障こそプレゼンソフト「パワーポイント」を駆使するべきだと熱弁を振るう人物がいる。DDTプロレスで覆面レスラーとして活動するスーパー・ササダンゴ・マシン、その人である。彼は、試合前の煽りVTRやマイクパフォーマンスの代わりに、自己紹介、対戦理由、その日の試合の見どころなどを、あらかじめスライドでプレゼンするという独特のスタイルで注目を集めている。

 そんな彼が、『スーパー・ササダンゴ・マシンによるコミュ障サラリーマンのためのプレゼン講座』なるDVDを発売し、話題ということで、話を聞いてみた。

「もともとはDDTプロレスお抱えの煽りVTRを作る映像スタッフをしていて、レスラーになったのはそのあとなんです。すると、ライバルや対戦相手の魅力を伝えるための煽りVTRも自分が作らなければいけない、というよくわからない状況が発生しまして。対戦相手が練習しているところにカメラを回しに行っている時点で、もう練習量に差がついてるじゃないですか(笑)」

 そのうえ、煽りVTRは撮影・編集・MAにかかる時間や経費もばかにならない。そこで編み出したのが、「煽りパワポ」という手法だった。

「自分の言葉で自分の考えを対戦相手やお客さんに伝えるという意味では、相手を挑発するトラッシュトークも一種のプレゼンテーションですからね。パワポなら、新潟から東京に向かう新幹線の中でも作成できますし、自分ひとりで作業できるので情報漏洩の心配もありません」

◆準備に照れるな!「再現性の高さ」こそ最大の武器

 しかし、「煽りパワポ」が生まれた最大の理由は、ほかにあるという。プロレスラーなのに、マイクパフォーマンスが大の苦手だったのだ。

「口下手でアドリブも利かないので、対戦相手にもお客さんにも『お前が戦いたい理由がよくわからない』と言われ続けていて。長州力にしろ、藤波辰爾にしろ、リング上でとっさの感情にまかせて飛び出した言葉から、これまでも数々の名言が生まれていますよね……えーと、まあ、今も例がパッと思い浮かばないんですけど(笑)。でも、プロや名人であるほど、アドリブのように見えてちゃんと経験の蓄積という『準備』をしているわけです。だったら、準備することに照れなくてもいいし、準備してきたことを隠す必要もないと思うんですよ」

「準備に照れるな」とは、けだし名言だ。アドリブの利かないコミュ障ならなおのこと、前もって入念に準備しておくことを「カッコ悪い」と恐れてはいけないのだ。

「それに、今はコンプライアンスの厳しい時代。うっかり相手の身体的特徴などをdisってクレームがついたら、放送取りやめになってしまいますからね。だったら、パワポで事前に資料をまとめ、なるべく挑発的な言葉を使わずに理路整然と、データやグラフなどを使って相手の体力を削っていくほうがいいんですよ」

◆ササダンゴ氏のパワポ芸は経営理論の絶好の教材!

 一見、「ネタ」的に見えるササダンゴ氏のパワーポイント煽りだが、実は、経営理論やマーケティングに使われる多様な「フレームワーク」が駆使されている。