普及する「受刑者用テレビ電話」と削減される「審理コスト」

写真拡大

米国などの刑務所で、受刑者用のテレビ電話が配備されつつある。裁判所での審理をテレビ会議で行うことで、移送費用が不要になるのが利点だ。ロシアでは年間5,000万ドル相当が節約できているという。

「普及する「受刑者用テレビ電話」と削減される「審理コスト」」の写真・リンク付きの記事はこちら

Polycom RealPresence Videoprotect 500」は、矯正施設(刑務所)用につくられたテレビ電話だ。普通の携帯であれば、歩いているときに誤って落とす衝撃に耐えられればよいだろうが、こうした施設ではそれでは不十分だ。

22インチ1,080pのディスプレイは、強化ポリエチレンテレフタレート(PETG)でできた厚さ約6mmのシートで保護されている。そのため、たとえ付属の頑丈な受話器を叩きつけたとしても、スクリーンが割れることはない(PETGの耐衝撃性や耐熱テストについては文末の動画を確認してほしい)。

polycom-prisonphone-inline

受話器の横についているヴォリュームボタンも、破壊できないつくりだ。

テレビ電話用につくられた厚さ14ゲージ(約1.63ミリ)のスチール製筐体には、特殊なネジが使われていて、普通のドライヴァーでは開けることができない。Videoprotect 500の筐体は、iPhoneに使われているペンタローブのネジに似た、大きくて頑丈なトルクスピンのねじで留められているのだ。

タッチスクリーンはないしアプリも使えないが、ハイテクな性能もある。ハンズフリー機能があり、受話器を取らなくても使えるようプログラムできる。受話器を上げれば、定められた番号に自動で電話をかける機能もあり、スピードダイヤルより速い。Instagramを見ることはできないとはいえ、ファームウェアは常に最新のものにアップデートされる。

Polycom(ポリコム)で連邦政府向け市場のディレクターを務めるラス・コルバートは、「顧客が必要としているのは、ブロードバンド接続です」と説明する。「どんな次世代アプリケーションの追加も、ソフトウェアのアップグレードで対応しています」

刑務所でのテレビ電話は、個人的な通話や面会だけではなく、罪状認否や弁護士との面談、受刑者の証言、保釈の審理などにも使われている。また、受刑者の移送が危険と考えられる場合にも使われる。受刑者が裁判所などに出頭する場合の費用も抑えられる。

「わたしたちはミシガン州最高裁判所と協力し、テレビ電話を導入することで、受刑者の移送費を280万ドル(約3億円)以上節約しました」とコルバート氏は説明する。「受刑者がランシングにある法廷で行われる審理に出席する場合、15分間の審理のために自動車での往復に12時間かけることになります。受刑者を移送する時は、2人が警備に付き添うため、受刑者1人につきおよそ1,800ドル(約19万円)の移送費用がかかるのです」(ポリコムのサイトによると、ロシアの裁判所でも導入されており、年間5,000万ドル相当の節約が行われているという)。

Videoprotect 500はそもそも矯正施設向けにつくられたものだが、ほかの業界でも利用されている。屋外でも使用可能な耐久性あるテレビ電話を必要とするようなショッピングモールでも使われているのだ。

この電話を購入して持ち帰りたいというのなら、重さが55ポンド(約25kg)あり、希望小売価格は1万5,000ドル(約162万円)であることを忘れてはならない。オンラインなら8,500ドル(約92万円)というお買い得なものも見つかる。ただし、色はグレーのみ。iPhoneのようなローズゴールドはない。