オーバーエイジ枠の使用について報道が過熱するなか、「誰が来ても負けないようにアピールする」と力強く宣言した。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 井手口陽介にとっては、3月のポルトガル遠征以来の代表招集だ。同遠征ではクラブ事情によりメキシコ戦後に離脱し、4月の静岡合宿も左足関節捻挫で招集外。G大阪では3試合連続でスタメンの座を掴んだ時期こそあったが、思うようにアピールできず、もどかしい想いをしているのは容易に想像がつく。

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 リオへの切符を懸けて戦ったアジア最終予選は、チーム最年少の19歳でメンバー入り。糧となる大舞台での経験を得た一方で、わずか1試合の出場に終わった悔しさは忘れていない。
 
「(最終予選は)試合に出ない選手でも嫌な顔をせずに、みんなが『チームのため』にという形ができていて、とても良い雰囲気だったので、自分にとって良い経験になりました。でも、自分はあまり出られず、悔しい想いをしました」
 
 そんな若武者に芽生えたのは、「リオ五輪では中心選手として試合に出たい」という野望である。
 
 合宿初日、手倉森誠監督から選手たちに、「アタッカーは大久保嘉人(川崎)、中盤は長谷部誠(フランクフルト)、DFは吉田麻也(サウサンプトン)を超えないといけない」と、オーバーエイジに該当する選手たちを引き合いに出して、檄が飛んだという。

 指揮官の言葉を額面通り受け取れば、ボランチの井手口にとっては、A代表不動のキャプテン長谷部が“ライバル”になる。他にもU-23代表キャプテンの遠藤航や大島僚太、原川力ら実力者がひしめくが、逆に井手口は戦う気持ちを強めているようだ。
 
「監督はオーバーエイジより良かったら使うと言っていました。誰が来ても負けないように、しっかりアピールしていきたいです」
 
 手倉森監督は前日会見で「13日に(試合が)組まれているクラブの選手たちの時間配分を考えないといけない」と話しており、13日に磐田戦が控える井手口もおそらくその対象となるだろう。加えて、故障明けの左足首も万全ではない。それでもリオ五輪のグループリーグ初戦でナイジェリアと対戦するため、同じアフリカ勢相手に結果を残し、アピールするイメージはできている。
 
「ガーナは球際に強いし、スピードでも絶対に速い。(自分が得意とする)対人では負けられないので、一発で抜かれないようにしっかりと対応していきたい。攻撃でもゲームを作ったり、ラストパスは意識してやっていきたいと思います」

 ガーナ戦の理想の展開を問われた手倉森監督は、「世界と戦う時に必要なのは積極的な仕掛け。そして、闘争心ある守備。ボールを奪った時にまず前に行く、ボールを取られたらまず奪い返しに行く、このふたつはやり続けないといけない」と答えた。
 
 球際に強く、攻守の素早い切り替えを持ち味とする井手口は、まさにそれを体現するにはうってつけの存在。ガーナ戦をきっかけに、自らの手でリオへの扉を開けるか、目が離せない。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)