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市場調査企業である米Gartnerの日本法人ガートナー ジャパンは、日本企業のIoTへの取り組みに関する調査結果を公表した。

同調査は、日本国内の従業員500名以上の企業のITインフラストラクチャにかかわるマネージャー向けのアンケート調査を通して、日本におけるさまざまなITのニーズや課題を分析することを目的に2016年2月に実施したもので、有効回答数は515件。ちなみにガートナーでは、2015年にも同様な調査を実施している。

IoTについて、企業がどのように取り組んでいるかの質問に対し、「IoTの専門部署やグループができた」という割合は10.1%となり、IoTに関して具体的な推進体制を整備できている企業は全体の1割程度にとどまることが明らかになった。特に、2015年の調査時には1年以内に体制を確立する予定だとしていたにもかかわらず、結果としてはその大半が実現には及ばなかったことが明らかになった。

またIoTに対する意識調査の結果、「社内の変革を推進する」、「ITがよりビジネスに貢献できる」など、成果への期待に対する回答の割合が50%を超えたが、「いまだにどこから手を付けてよいか分からない」とする回答も4割近くあり、期待と現実的なアクションへの落とし込みに対する難しさが入り混じる現状も明らかになった。

今回の結果について、ガートナー ジャパンのリサーチ部門リサーチ ディレクターである池田武史氏は、「IoT推進体制の確立に関しては、2015年の調査結果である8.5%と比較して増加はしているものの、2015年の時点で1年以内に体制を確立する予定と回答した16.7%の大半の企業がそれを見送った状況といえよう。IoTに期待する企業の割合は2015年とほぼ変わらないとみているが、取り組みを推進するきっかけや明確な目標をまだ捉えきれていない。2015年は海外ベンダだけではなく、国内の大手システム・インテグレータやサービス・プロバイダなどがIoTの推進体制を確立し、それぞれのビジネスの機会を狙い始めたが、企業の慎重な態度が今後も続くようなことになれば、その成果を得られる時期については見直しを迫られるリスクがあろう」 と述べている。

また同氏は、「IoTはこれから先数年にわたる技術革新によってその効果が期待できるデジタル・ビジネスの中核的な領域であることを再認識し、他社の成果を待つのではなく、自ら起こすべきチャレンジであると理解することが重要だ。まずは小さな仮説検証、概念実証を素早く行うこと、そして試行錯誤を続ける覚悟と体制が必要である。その意味でIoTは、現場からのボトムアップに期待するだけではなく、経営者自らがビジネス・インパクトを研究/リードすべき重要なテーマである」と経営層によるIoT推進の重要性を強調している。

○日本企業はクラウド・コンピューティング採用も進んでいない

同社は同時に、同じ調査対象に対して日本企業のクラウド・コンピューティングへの取り組みに関する調査も実施している。その結果によると、日本におけるクラウド・コンピューティングの全体の採用率は16.1%であり、2015年の15.8%から0.3%の微増にとどまった。

この結果について、ガートナー ジャパンのバイス プレジデント兼最上級アナリストの亦賀忠明氏は、「クラウド・コンピューティングの採用率は2012年には10.3%であったことから、この5年間で6ポイント近く上昇したことになる。平均すると1年間でおよそ1ポイントの上昇であり、すなわち、日本におけるクラウドの採用スピードは、相当緩やかなものである」との分析結果を述べている。

また、2016年の採用率がそれほど伸びていないことについて、「日本では、どのクラウドを選んだらよいか、コストはどうなるか、どの業務システムをクラウドに移行できるか、セキュリティは大丈夫か、といった『基本の確認』フェーズが続いている。クラウド・コンピューティングというキーワードが世の中に登場したのは2006年であるが、多くの企業はこの10年間、同様の議論を続けている」とする一方、今後どうなるかについては、「2015年ころから、クラウド上では、モバイル・アプリケーション開発、IoT、機械学習、ブロックチェーン、クラウド・アクセス・セキュリティ・ブローカ(CASB)といった新たなサービスが急速に登場しつつある。こうした新しいサービスは、デジタル・ビジネスやクラウド・ファーストの考え方を、ガートナーが提唱するバイモーダルITのモード2アプローチの中で加速させるきっかけをもたらしており、企業のクラウドに対する取り組み全般を次のステージに推し進める可能性がある。企業は、情報システムのクラウド化だけではなく、こうした新しいサービスの可能性とインパクトにも早期に注目すべきだ」ともコメントしている。

(服部毅)