SOURCE\財官
日銀、次回緩和に牘の手〞。
融資利率低下で借金株に恩恵

日銀が2月にマイナス金利を導入したが、物価や景気の基調は依然としてマイナス含み。市場関係者ばかりでなく、脱デフレを掲げる政府周辺からは、早くも追加緩和への期待感が浮上している。

ただ、気になるのはマイナス金利の副作用。マイナス金利下では、民間銀行が日銀に余剰資金を預けると牴欟〞される。このため、マイナス幅を拡大させれば、収益悪化懸念から銀行株が売られ、2月上旬のように混乱が株式市場全体に波及しかねない。

市場に出回る国債には限りがあり、国債購入枠の拡大も難しい。一方、日銀は市場に資金を流し、経済を浮揚させる責務がある。

この難題に対する答えは「信用力」である。金利は満期までの年限だけでなく、借り手の信用力でも決まる。規模が小さく体力の弱い企業ほど、融資の際には高い金利を要求される。そこで、信用力による金利の差を極力縮めれば、銀行から企業に融資という形で資金が行き渡りやすくなる。

具体的には、日銀の資産購入対象に、地方債や低格付けの社債などを加える手がある。日銀の購入対象となることで、低格付け社債も利回りが低下し、財務体質の弱い企業でも資金調達が容易になる。社債の利回りが低下すれば、融資レートも低下に向かう。マイナス金利導入で国債の利回りがマイナスに転じた後も、低格付け企業の資金調達レートの低下は小幅にとどまっていた。それだけに日銀が腕ずくで信用力による金利差を縮小させれば、民間への資金供給を増やす効果は大きいとみられる。

メリットが大きそうなのはJ−REIT(上場不動産投信)。AA格以下のいちごオフィスリート投資法人(8975)や日本リート投資法人(3296)の調達条件向上が予想される。ユニゾホールディングス(3258)や日本アセットマーケティング(8922)のような、業績拡大期にあって自己資本の薄い中堅不動産会社にも追い風だ。
不動産以外では、借入金をテコに成長が続く神戸物産(3038)や日本調剤(3341)、澤田ホールディングス(8699)でプラス効果が期待できる。

デメリットもある。財務状態のいい企業も悪い企業も資金調達コストに大差がなければ、経営者は財務状態の改善を目指さなくなる。

融資利率や社債の利回りを通じて企業努力の差を浮き彫りにする市場の機能が損なわれるわけだ。体力に見合わない借り入れリスクを負うケースが続出すれば、その後はバブル処理の再来が待っている。