不妊の原因を確かめ、子どもを授かるための治療を行うには、夫婦で検査を受ける必要がある。夫側に原因があった場合、どのような治療が行われるのだろうか? 泌尿器科生殖医療専門医の大橋正和先生に教えてもらった。

「まず夫側の原因を調べる検査である『精液検査』を行います。結果が悪かった場合、不妊治療へと進みます。生活指導や内服治療で改善することもあれば、外科手術が必要な症状もあります」(大橋先生 以下同)

では男性不妊の原因として多いものにはどんな症状があるの?

「多いものとして、精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)という症状があります。これは、精巣(睾丸)から心臓に向かう静脈の血液が逆流する状態のこと。腹筋に力を入れると、心臓に戻るべき血液が精巣の方へ戻ってしまいます。すると、精巣の周りに血が鬱滞(うったい)して温度が高まり、精子を作る機能が落ちてしまいます。後天的になるケースはまれで、生まれつきのことがほとんど。軽いものも合わせると5人に1人の男性に見つかっています。状態が悪い場合は、外科手術が必要です」

精索静脈瘤は本人に自覚症状がないため、男性不妊の専門医が診察するまで気づかないことも多い。精巣の大きさに左右差がある場合は疑ってもいいそうだ。

●男性の不妊、その原因で多い内容は?

また、ほかに多いものに無精子症がある。無精子症には閉そく性と非閉そく性があるそう。

「精子を作る機能が良好で精管などが詰まってしまう閉そく性無精子症の場合は、外科手術を行い詰まった場所をつなぐことで、自然妊娠が可能になります。非閉そく性無精子症は、精巣に問題があり、精子ができない状態です。薬物治療を行いますが、症状が悪い場合は精巣内精子採取術TESE(テセ)で直接精巣から精子を取り出して、奥さまの卵子と顕微授精を行います」

男性不妊は、病気の合併症でなるケースもある。例えば、糖尿病だと逆行性射精という病態が出る可能性がある。精液が体外に出ずに膀胱のほうに戻ってしまう症状なのだとか。

「逆行性射精の治療は、精液を出すためにまず内服治療を行います。薬を服用することで半数近い方が改善されます。薬で改善しなかった場合は膀胱内に戻った精子を回収し、人工授精、体外受精、顕微授精を試みます」

全国には生殖医療に携わる専門医が約600人。そのなかで男性不妊の専門医は47人しかいない。精液所見の検査は婦人科でも行えるが、夫に不妊原因があった場合は紹介状を出してもらったり、問い合わせたりするなどして、泌尿器科の生殖医療専門医に相談しよう。

(ノオト+石水典子)