出産時、同じ会社で1年以上働いていれば原則として1歳になるまで育休を取得できる。育休を取ること自体、今では珍しいことではない。だが、復帰後に短時間勤務制度(以下、時短)を利用し、会社の対応にとまどいを感じたというケースは少なくないという。

「すでに何年も前から育休や時短で働いている女性が多い職場は、比較的スムーズに復職できます。問題が起きがちなのは長時間働く人が多く、かつ育休や時短の人が出て間もない職場です。おおむね、大企業では理解のある職場が増えていますが、人手が足りない中小企業や女性が少ない会社では、不適切な待遇を受けて悩む方も多くいるようです」

こう話すのは、育休後コンサルタント®の山口理栄さん。山口さんによると、育休後に復帰した女性への会社のありがちな対応はふたつあるという。まずひとつめは無配慮な対応だ。

「常に人手が足りない中小零細企業で見られることが多いのですが、関わる仕事のすべてをまかされ、代わりの人もいないため、育児と仕事を両立しづらい状況に追いやられてしまいます。また、『時短勤務で働く人は認めない』といった上司に当たることもあります」(山口さん 以下同)

この場合、復帰後に就業しても育児と仕事の両立が難しく、退職や転職せざるを得ないケースもあるようだ。

●仕事を減らされ過ぎた場合は、上司に交渉も

そして、もうひとつ多い問題点は上司による過剰な配慮だ。

「『お子さんがいるから大変だよね』と、慣れ親しんだ部署とは別の部署に異動させられたり、『いいよ、いいよ』と極端に仕事を減らされてしまったりするケースです。そのため、周囲に気兼ねしたり、同期や後輩がやりがいのある仕事を任される姿を見たりして、複雑な思いになることもあるようです」

もちろん、産後間もない頃は子どもが熱を出すことが多いため、こういった配慮が必要なときもある。しかし、本当はもっと働けるのに過度に仕事を減らされすぎると、自分の仕事のスキルが上がらないという問題も…。

「そこで相談せずに諦めてしまうと、いわゆる『ぶら下がり』になってしまいます。上司もどのくらいの仕事を任せたらいいのか判断しづらい部分もあると思うので、自分が働けると感じていたら『もう少し仕事を増やしてくれませんか』と上司に交渉できるといいですね」

では、上司にはどのように話すといいだろうか?

「育児と仕事の両立の大変さを知っている上司なら、仕事量の加減ができるものです。しかし、例えば結婚後に専業主婦になった妻を持つ男性などから見ると、ワーキングマザーの意識や事情はよく分からない。ですから『1週間でこなす仕事をいただきましたが、これなら3日でできるのでもう少し仕事を増やしても大丈夫です』などと具体的にできることを提案すると、伝わりやすくなります」

ただでさえ子どもが小さいうちは、労力を育児に奪われがち。無茶な対応が変わらない職場なら転職を考えてもいいそうだが、過剰な配慮をする職場なら交渉の余地がある。まずは状況が良くなるように働きかけてみることがオススメだ。

(ノオト+石水典子)