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【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第5回】

 プレゼンテーション演習に参加したビジネスパーソンの方々からよく受ける相談に、「話が続かない/流れをつかめない/盛り上げることができないのだが、どうすればよいだろうか」というものがある。詳しく話を聞いてみると、プレゼンテーションの時間経過とともに、聞き手の関心が薄れていくことが手にとるようにわかり、話し手である自分の気持ちも萎えてくるというのだ。きっと読者の中にもこのような感覚に陥った方も少なくないだろう。

◆「次です」の合いの手より、無言がベター!?

 そういう相談をしてくる方は、ひと言で申し上げれば、真面目で優しい方が多い。そして、プレゼンテーションを聞かせていただくと、パワーポイントの1頁の説明が終わるごとに、「それでは、次のページです」、「はい、次です」というような合いの手を丁寧に入れているケースによく出くわす。きっちりと、頁の区切りを確認し、そして聞き手に示すことこそが、聞き手にとって親切なプレゼンテーションであるという優しさの表れかもしれない。

 相談をしてきた方に対しては、私はこの合いの手を入れないでやってみましょうということをお勧めする。そうすると、大概の方が、「え?」という顔をする。「合いの手を入れないのであれば、なおさら話が続かないのではないか、リズムが崩れるのではないか」という懸念を抱くようだ。

「百聞は一見にしかず」なので、実際にロールプレイングで実施していただく。そして、実施してみてどうでしたか?ということを聞いてみる。すると、ほとんどの方が、「聞き手は関心を持ってくれたような気がします」という回答が返ってくる。

 実は、これには理由がある。話し手としては聞き手に親切にしようと思って、真面目に「それでは、次の頁です」、「はい、次です」という合いの手を入れていたのが、これをページ毎に繰り返されると、その単調さが、聞き手の集中力を削ぐ。加えて、話し手にそのような意図がなくとも、「次の頁を見てください」、「次を聞いてください」という押し付け感が伝わり、それが聞き手の抵抗感を高めるから、聞き手の関心度合いが低下するのだ。

◆「間」をつくり、ブリッジをかけると流れができる

 そのために、合いの手を入れないロープレを実施してもらったわけだが、単調な合いの手を入れるのだったら、無言の方が、聞き手の集中力を削いだり、関心度合いを低下させたりすることを防ぐことができるからなのだ。無言で頁を繰るということは、その間、話と話の合間に「間(ま)」ができる。その「間」の時間で、聞き手は、自分自身で「今の話はこういうことだな」と反芻したり、「次は何の話だろうか」と思いめぐらすことができるのだ。真面目で優しい人ほど、「間」のないプレゼンテーションにより、聞き手自身に考えさせる余裕を与えない結果となってしまうことになってしまう本末転倒な事例である。

「間」をつくることができるようになると、次の段階は、ブリッジのスキルを身に付けることが効果的だ。ブリッジのスキルとは、今説明した頁と、これから説明する頁との間に、両者を橋渡しする、橋(ブリッジ)をかけるフレーズを盛り込むことだ。これにより、プレゼンテーションの流れに弾みがつき、聞き手の集中力や関心度の低下を極小化できる。

「ただいま、○○についてご紹介しました。それでは、具体例を挙げますと……」とか、「○○の利点は以上です。逆に、欠点をお話ししますと……」などがブリッジのフレーズだ。ポイントは、ブリッジのフレーズを入れるタイミングで、頁をめくる前に入れることが効果的だ。話し手が「次の頁です」と言わずに押し付け感を与えず、そのかわり、次の頁を期待させる内容のフレーズを話すことで、聞き手が自分で頁をめくりたくなる。聞き手の集中度や関心度を高めることができ、流れに弾みをつけることができる。