同時代の風俗という主題と、細やかなタッチで木漏れ日を描く技法が融合した印象派時代の傑作「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」/1876 年 油彩/カンヴァス オルセー美術館(C)Musee d'Orsay,Dist.RMN-Grand Palais/Patrice Schmidt/distributed by AMF

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オルセー美術館とオランジュリー美術館のルノワール作品が一堂に会する「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」が、国立新美術館 企画展示室1Eにて4月27日から8月22日(月)まで開催中。

晩年のルノワールと親交のあったマティスは本作を最高傑作と称えた「浴女たち」/1918-1919年 油彩/カンヴァス オルセー美術館(C)RMN-Grand Palais (musee d'Orsay) / Herve Lewandowski / distributed by AMF

"風景なら、その中を散歩したいと思わせるような絵が好きだ"と語ったルノワール。子どもを連れて坂道を降りてくる女性の日傘と、ひなげしの深紅色が草原の緑とコントラストを成している。   「草原の坂道」

■ 色彩は「幸福」を祝うために

世界でも有数のルノワールコレクションを誇る、オルセー美術館とオランジュリー美術館。ルノワールの最高傑作「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」が日本で初めて展示される本展覧会は、両美術館が所蔵する100点を超える絵画や彫刻、デッサン、パステル、貴重な資料の数々によって画家ピエール・オーギュスト・ルノワールの全貌に迫る。

磁器の絵付け職人を経て、国立美術学校や私設のアトリエで絵画を学んだ若きルノワールは、モネやシスレーとの出会いを通して新しい絵画を志すようになった。本展では写実的な初期作品から、薔薇色の裸婦を描いた晩年の大作まで、多様な展開を見せたその画業を全10章を通して紹介する。

約100点にのぼる作品の中でも、初来日の目玉作品である「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」「浴女たち」は今まで貸し出しが許されなかったが、本展主催・日本経済新聞創刊140周年の節目を迎えるにあたり特別に展示が許された。

パリの北にあるモンマルトルの丘にオープンしたダンスホールで、日曜日には午後3時から真夜中まで広い庭でダンスパーティーが開かれ、ルノワールはそこで踊りや会話に興じる若い男女を描いた。人々の喜び、着飾った姿、彼らを包む光を一枚の絵に結晶させ、同時代の風俗という主題と細やかなタッチで木漏れ日を描く技法が融合した、印象派時代の最高傑作と呼ぶにふさわしい作品だ。「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」

ラファエロやティツィアーノ、ルーベンスといった過去の巨匠たちと競いながら、神話ではなく地上を舞台に裸婦像に取り組んできたルノワール。彼の人生における最後の数ヶ月に制作された「浴女たち」は、リウマチで動かなくなった手に絵筆をくくり付けながらも、その苦闘を思わせないほど軽やかに、豊かな緑と薔薇色の裸婦を描き出した。

悪化するリウマチ、第1次世界大戦に従軍した息子たちの負傷、妻アリーヌの死に直面しながら、最善を尽くしきるまでは死ぬわけにはいかない、と絵を描き続けたルノワール。

本場パリでもかなわない、両美術館の夢の競演を実現させた「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵ルノワール展」はぜひともチェックしておこう。【東京ウォーカー】