旅行の目的地には主に2つのタイプがある。1つは近場で交通の便がいい観光スポット。もう1つは、交通の便が悪く、行くのに時間がかかる「景勝の地」だ。不便な「景勝の地」に行くにはそれなりのモチベーションと忍耐力を必要とするが、たどり着いたときの達成感や得も言われぬ美景を目にした時の感動は、計り知れないものがある。(イメージ写真提供:123RF)

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 旅行の目的地には主に2つのタイプがある。1つは近場で交通の便がいい観光スポット。もう1つは、交通の便が悪く、行くのに時間がかかる「景勝の地」だ。不便な景勝の地に行くにはそれなりのモチベーションと忍耐力を必要とするが、たどり着いたときの達成感や得も言われぬ美景を目にした時の感動は、計り知れないものがある。

 中国メディア・網易は5日、日本国内にある「どんなに時間をかけても行く価値のある」観光スポットとして、京都・丹後半島北部にある伊根町について紹介する記事を掲載した。

 記事は、伊根町が「日本で最も美しい村の1つ」であるとし、大阪や京都といった主要エリアからだいたい2-3時間はかかる辺鄙な場所にあると紹介。一方で、かつて漁業が盛んだった名残を思わせる舟屋の数々を特徴とする美しい景色は、「さらに多くの時間がかかったとしても、見る価値がある」と評している。

 そして、この地域に並ぶ舟屋の住宅は1階部分が船を停泊させる場所になっており、生活空間が2階に存在すると説明。遠くからみると水面に浮かんでいるように見える舟屋、背後にそびえる山林の風景は「思わずベニスを想起させる」とする一方で、その建築様式には「日本の情緒や風貌が色濃く表れている」のだと伝えた。

 また、現在230軒ほど存在する舟屋は「重要伝統建造物群保護エリア」指定によって保護されており、容易に立て直しが許されないことも紹介。「小さい町だが、短期滞在する価値はある。1-2日滞在すればスローライフが味わえ、しかも海の幸も山の幸も新鮮でうまい。漬物や乾物といった土産物は、品質価格ともにとても満足いくものだ」としている。

 「有山有水」という言葉があるように、中国の人は山あり水ありの場所を「いいところ」として好む傾向にある。日本の象徴とも言える富士山も、近くに海や富士五湖といった「水」があるからこそなおのこと中国人を「いや絶景なり」と感嘆せしめるのではないだろうか。

 そういった意味でも、伊根町は魅力的な場所だ。しかも、日本的であるとともに舟屋という特徴的な建物が残っている、食べ物がおいしい、とあれば、これから訪れる中国観光客の数は増えてくるかもしれない。ある中国ネットユーザーが「大きな中国観光客の波、接近中」と冗談めいたコメントを残していたが、まったくあり得ないことではなさそうだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)