日中外相会談が4月末、北京で開かれた。長く途絶えていた日中間の本格的な政治対話の再開にもかかわらず、中国側の強硬な姿勢は相変わらずだった。資料写真。

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2016年5月6日、北京で4月末に開かれた日中外相会談。国際会議出席以外で、日本の外相が訪中したのは4年半ぶりだった。安倍晋三首相と習近平国家主席が首脳会談を重ねているとはいえ、長く途絶えていた本格的な政治対話を再開した形だが、中国側の強硬な姿勢が相変わらず目立った。

外相会談に先立ち、中国共産党系の環球時報は「日本外相が異例の連続訪中、対話を急ぐ」との記事を掲載した。同紙は「相互訪問が国際外交の慣例だ。中国外相の訪日がない中で、日本外相の連続訪中は異例とも言える」と指摘。「日本メディアは日中対話の進展を急ぐ日本政府が慣例を破ったと分析している」と報じた。

こうした中国側の認識からか、4月30日の岸田文雄外相と王毅外相の会談は、王外相の“先制口撃”で始まった。熊本地震へのお見舞いの言葉に続き、王外相は「この数年の間に日中関係は絶えず波乱がありました。その原因については日本側が一番よくお分かりでしょう。近年、日本はたびたび関係改善を希望しています。もしあなたが誠心誠意で来たのであれば、私たちは歓迎します」と切り出した。

さらに、「中国には『その言葉を聞き、その行動を見る』という言葉があります。今日はあなたがどのように日中関係を改善するか意見をうかがいたい。それと同時に、日本側が本当に行動に移すかということも見なければなりません」と追い打ちをかけた。日本メディアは「報道陣を前に関係冷却の責任を日本になすりつける王氏に、岸田氏はとっさに反論できなかった」とも伝えている。

その後の会談でも中国側の姿勢は変わらないまま。中国外務省の発表によると、誠実に歴史を反省し、「一つの中国」政策を守る▽前向きかつ健全な意識で中国の発展を見るべきであり、「中国脅威論」や「中国経済衰退論」をこれ以上まき散らさない▽経済交流については、「一方が相手により依存しているとか、より必要としている」といった時代遅れの思考を捨て、中国と真に対等につきあう▽地域問題や国際問題については、互いの正当な利益と懸念を尊重し、日本が中国への対抗意識を捨てて地域の平和、安定、繁栄のために、共に力を尽くす―の対日4項目要求を突き付けた。

これに対し、日本側は「岸田外相は隣国なので課題は尽きないが,意見の異なる分野では率直に対話し,適切に対処していくべきと述べた」「東シナ海,南シナ海,国民感情の問題,歴史,台湾等について率直な意見交換を行った」とするだけで、詳細を明らかにしていない。しかし、会談が昼食会を含め異例の4時間半近くにも及んだことから、相当突っ込んだやりとりがあったとみられる。

現在の日中関係を端的に象徴するのが外相会談冒頭の写真撮影。王外相は笑ってはならないとばかりに、厳粛な表情を保ち続けている。習主席も安倍首相との会談では、いつも硬い表情。日中両国の要人が共に笑顔で握手を交わす日は、まだ遠いようだ。(編集/日向)