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東京都医学総合研究所(医学研)と富山大学は4月20日、てんかん発作により増加するたんぱく質「ニューリティン」が、別のたんぱく質である「FGF受容体」と結合することで軸索の異常分枝を促し、それにより側頭葉てんかん患者のてんかんを悪化させることを明らかにしたと発表した。

成果は、医学研 シナプス可塑性プロジェクトの島田忠之 主席研究員と同 山形要人 副参事研究員、富山大学の吉田知之 准教授らによるもの。研究の詳細な内容は、米国科学誌「The Journal of Neuroscience」に掲載された。

てんかんは、脳の神経細胞が過剰興奮する慢性の病気であり、日本人の約1%が罹患しているといわれている。その内の約70%は抗てんかん薬によって発作を抑制することが可能だが、残りの30%は薬に抵抗性の難治性てんかんと呼ばれ、問題となっている。

意識障害を伴う発作(複雑部分発作)を起こすことで知られる「側頭葉てんかん」も難治化しやすいことが知られており、その仕組みとして、海馬に存在する神経細胞である「顆粒細胞」の軸索が異常に枝分かれ(分枝)する「苔状線維発芽」と呼ばれる状態となり、その先端が再び顆粒細胞に接続することで、顆粒細胞間での神経のシグナルが循環してしまい、それによりてんかんの発作が悪化すると考えられてきた。

しかし、てんかん発作によって軸索が分枝するメカニズムについてはこれまでよくわかっていなかったことから、今回、研究チームは、側頭葉てんかん発作後の軸索分枝に関わるたんぱく質を明らかにするため、発作によって増加するたんぱく質群の中で軸索分枝を引き起こす原因物質の探索を実施。

その結果、神経細胞表面に存在するニューリティンを多く発現させると軸索分枝が形成されることが判明したという。また、通常の神経細胞は発作を起こすと軸索分枝が起きるが、ニューリティンを持たない神経細胞では発作を起こしてもあまり分枝が起きないことも確認したほか、ニューリティンを持たない動物では、てんかん発作を起こしても苔状線維発芽の程度は軽く、てんかんの悪化速度も緩やかだったことを確認したとする。

さらに、ニューリティンが増えることで、FGF(線維芽細胞成長因子)因子を受けることで活性化し、細胞内へシグナルを送るというたんぱく質「FGF受容体」が活性化。それにより、海馬ニューロンの軸索分枝やてんかん難治化が生じることを突き止めたという。

なお研究チームでは、今回の研究成果を受けて、ニューリティンの機能を抑えることによって、てんかん難治化を抑えられるというメカニズムは、従来の抗てんかん薬の作用機序とはまったく異なっていることから、難治の側頭葉てんかんに対する新たな治療薬としてニューリティン機能阻害薬の開発につながることが期待されるとしている。

(デイビー日高)