【全文】手倉森監督、U-23日本代表メンバー発表会見。オーバーエイジについてギャグでかわす

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5月に行われる強化試合のガーナ戦に向け、U-23日本代表メンバーを発表した手倉森誠監督。

会見は日本サッカー協会のYoutube公式チャンネルで生中継されたのだが、今回はその代表メンバー発表会見の全文をお届けしよう。

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※できる限り話し口調のまま掲載

霜田 正浩(日本サッカー協会 技術委員長)

「はい、皆さんこんにちは。霜田でございます。

まず最初に3週間あまり経ちましたが、熊本の地震で被災された方々の心からのお見舞いをまず申し上げたいと思います。

そして、この試合をチャリティマッチとさせていただくことになりました。

この試合の収益の全ては義援金として被災地に寄付させていただくことになりましたので、あわせてご理解宜しくお願い申し上げます。

そして、特別協賛をしていただいたMS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社の皆さん、それからいつも日本代表を応援していただいているスポンサーの皆様にも、この試合の意義やチャリティマッチの開催、そのご理解ご協力をいただいたことに関してこの場を借りて御礼を申し上げます。ありがとうございました。

オリンピックまであと3ヶ月となりました。ここからだんだん国際試合を経験して、国際試合を戦うモードにしていければなと思っています。

この月火水の平日、シーズン中であるにもかかわらず、国内組とはいえガーナが来てくれてここで試合ができるというのを非常に僕らはありがたく、良い経験にしなければいけないと思っていますのでまたご理解、ご支援宜しくお願い申し上げます。以上です」

手倉森 誠(U-23日本代表監督)

(メンバー表が記されたリリースの資料を配布する)

手倉森「まずオリンピック3ヶ月前にこのガーナ戦というマッチメイクをしていただいた協会と、それサポートしてくださるスポンサーに感謝申し上げたいなと思います。

オリンピックまで3ヶ月を切って、このガーナ戦を皮切りにトゥーロンの国際大会、6月の国際親善試合というのがリオ本大会に向けての強化試合だと。5月このガーナ戦とトゥーロンに関しては、強化をしながらメンバーの絞り込みというところを加速させていくゲームになるなと思っています。

本戦でのアフリカ勢、まず初戦のナイジェリアを想定するに相応しいチームが今回対戦できるなと感じています。

オリンピックでの我々の可能性、目標へ可能性を高めるための強化、そして世界のスタンダード、アフリカ勢との対戦で我々がどう工夫しなければいけないのかという手応えをこの試合では掴みたいなと思います。

と同時に、熊本大震災の復興チャリティマッチになったことで、当初から九州での開催、開催地において熊本の震災があったことによってチャリティマッチになりました。

また大きなものを背負って、戦う覚悟、戦う勇気、勝利を目指し挑む姿勢というところを被災地へ示してエネルギーを届けたいと思います。

ガーナの国内組のA代表を迎えておそらくタフなゲームになると思いますけども、苦しい局面でもしっかり凌いで、勝利を目指す姿勢を被災地に示せればな、と。

(東日本)震災の起きた年にね、前回はなでしこジャパンが世界一になりました。次は我々の番だなという覚悟もこの試合から持たせて、U-23ジャパンを奮い立たせたいなと思います。以上です」

―以前から、5月からはもう絞り込む段階に入ると仰っていましたが、今回選ばれたメンバーは今後も本大会を含めて軸になると考えて宜しいんでしょうか。彼らが18人に残っていくにはどういうものを見せなければいけないか、見せてほしいかというのを教えてください。

手倉森「軸になりたければ頑張るでしょう、と、頑張れ、と。

間違いなくここに来てるメンバーはそのチャンスがある。そのチャンスを十二分に活かす覚悟を示してほしいし、本大会をしっかりと描けてこれからの試合を活動どうすべきだと思っています。

非常に過酷でタフ本大会が待っている。ということは、求められるのはタフさだというところですから。環境の整ったこの日本で試合をする時に、今ある存分の力を発揮しなければタフさは磨かれないと思いますから。スピードとパワーというのを示せる選手たちが生き残っていくだろうなと思っています」

―クラブで主力として出ている浦和の遠藤航くんや柏の中村航輔くんが今回呼ばれてないですが、その理由があれば教えてください。

霜田「いろんな理由があります。

この後にトゥーロンを控えてますのでここで呼ばなくてもトゥーロンでしっかり見れる選手もいますし、その後にACLを控えてかなり過密日程で日本の代表として戦わなければいけないクラブ、ACLを戦わねばいけないクラブの選手、ずっと試合に出てる選手に関しては、ある程度いろんな比量も含めて考慮はしてます。

一人一人理由は違うので、ここで選べなかった選手を全て言うわけにはいかないんですけど、遠藤と中村航輔に関してはそういう感じです」

―監督に質問します。東日本大震災の時は仙台の監督としてその年4位になって、その次の年は広島と優勝争いをして逆境を力に変えるようなところを見せてくれたと思うんですけど、今回オリンピックがある年に地震が起きてチャリティマッチもやると。被災地に示すメッセージもそうですけど、今回のチャリティマッチの意義というのをどういうところに感じてらっしゃいますでしょうか?

手倉森「打撃を受けた被災地、思いは悔しさ、悲しみに溢れています。

悪いことが起きるのも人生ですけど、良いことも人間の力で起こさないといけない。こういう状況になった時にスポーツの力で明るいニュースを届けられる、それを東日本大震災の後のベガルタでものすごく感じました。

国民の思いを背負って戦うことで日本代表というのは、チームというのは思いもしない力を発揮できるもんなんだなというのを感じています。

そういうのを分かっている指揮官として、今回のオリンピックメンバーに対しても被災地の思い、そしてオリンピックへの国民の思いというのをしっかり胸に刻んで戦うことができれば、人は多くのパワーを注げるだろうなと思っています。

そのパワーを注いだ先には必ず良いニュースを届けられるというのを今回示さなければいけない、と。日本の歴史を変えるべくね、メダルが目標であることに対して、一つ大きなものを背負った状況で戦うことが課せられたんだなと思った時に、そういった力が必要なんだなということを認識して、打撃を受けた被災地、九州の力、そして日本の力というのを我々が世界でたくましさという部分で示せれば良いなと思っています。

そういったものを示せる集団というのを今回の90分で示したいなと思います」

―手倉森監督にお聞きします。主力と思われていた選手が続々と故障をし、海外組のオーバーエイジも我々に入ってくる情報では呼べないんじゃないかというような状況もありながら、どうしていつもそんなに元気なんですか?歴代の五輪代表監督でしたら、ちょうどピリピリし始めて我々とも口を利いてくれないような状況だと思うんですけど、その元気の源を教えてください。

手倉森「僕、イライラする沸点が人よりたぶん高いんだろうな、と(笑)

あと自分が捉えている“幅”というのにはね、ものすごく広さがあるなと自分の中でも感心しています。まずこの立場で仕事をさせてもらっている時に、これまでの五輪代表監督の感情だったり仕事ぶりというのを私なりに検証して今この立場で仕事をさせてもらってます。

まぁオーバーエイジを呼ぶことはね、非常に困難。困難な仕事です。だから自分の中では『こんなんでしょう』っていう感じでいますし、勝負に挑む時に戦う仲間というのは必ず縁があるもんだなと思っています。

今怪我をしているメンバーというのは決して縁がないわけではなくて、果たして誰が戻ってくるんだろうなという期待感もまだ自分の中にはあります。

オーバーエイジありきではなくてね、やっぱりU-23世代の大会だという考えがしっかりあって。リオでU-23世代をしっかり次のロシアの選手選考にググッと食い込ませたいし。

困難で選べない状況であっても、そのプロジェクトは大きく進むなという割り切りも自分の中にはあって。『なるようになるな』っていつも思ってます。

まぁ今回はでも、なんとかしなくちゃいけないっていうね。ただ7月1日まで自分の中には時間があって、その中でやるべきことをきっちりいろんな情報を取りながらやっていければ、その先にはやることが明確になってくるだろうなと思っています。

実際に最終予選までもね、いろいろ試行錯誤しながら苦しみながら最後は勝てばいいだろうという思いでアジアチャンピオンにもなれたし、こういうスタンスでいることがいろんな力が寄ってきてくれるのかな、というね。

最後までこの態度でいられればいいなと思います」

―監督にお伺いします。以前監督は、『オリンピックに出場する際に、予選リーグでいろいろなバリエーションを持って戦わなければいけない』と仰っていました。ナイジェリアを想定して今回戦われるということですけども、具体的に想定されているフォーメーションだったり戦い方っていうのは今言える範囲で仰っていただけないでしょうか?

手倉森「このメンバー構成を見れば4-4-2…ガーナには4-4-2でいきます。

アフリカ勢とか今予選を勝ち抜いてきたそれぞれの国々を見た時に、若さからくるゲームコントロール力というところが間延びする状況が見られている、と。特にアフリカ勢はそうだと。

これをオープンにさせられた状態で付き合っては絶対身体能力でやられるので、コンパクトさを武器に戦おうと思った時には4-4-2だな、と。これ自分の中の考えなんだけど、それが確信を持てるように今回の試合をトライしたいと思います。

負けたら違うことをやります(笑)」

―監督にお伺いします。最終予選まで見せてきた柔軟性と割り切りというものを、このオリンピックでもさらにバージョンアップさせて活かしていくんじゃないかと思いますけども、そのためにこのガーナ戦以降の国際試合でトライすることやこういうことをやっていかなければいけないということがあれば教えてください。

手倉森「選手一人一人にもっとポリバレント性というのを植え付けなければいけないな、と。それで割り切りの部分で体力の分散と集中力の分散っていうのも少し彼らに理解させなければいけないな、と。

あとはスピードを高めないといけないし。柔軟性、割り切り、あとメリハリっていうのがね、本大会では大事になってくると。ものすごい暑さの環境の中でパワーを出し続けるのは難しいですし、いつパワーを出すんだっていうところに対してメリハリを持ったチームにならないと最後は体力が枯渇してしまう。

90分のうちにそうなるかもしれないし、大会期間中にそうなるかもしれないし。そういったものを理解し合えるグループを形成していかなければいけないなと思っています。

そういう意味でやっぱり1/3以上は2つのポジションをできる選手がいなければいけないと、今のところ考えています」

―監督にお伺いします。この試合の後すぐトゥーロン国際に向けて3人削る作業があると思うのですが、今考えている範囲で、それを選手に伝えるのは試合後なのか翌日なのか、どんな方法なのか今考えていることがあれば教えてください。

手倉森「トゥーロンでは、メンバーは入れ替わります。入れ替わることを選手たちに話しながらキャンプをやっていきます。

(日本に)置いていくと決断した人はこのガーナ戦がものすごく大事になってくるだろうし、そういう意識の中で戦わせたいと。自分は柔軟性、バリエーションを持たせるためにいろんな選手にまだまだチャンスを与えたいと思っていたなかで入れ替えて5月は進みたいと思っていますから。

そういう話を理解してもらいながらチームとして動いていきたいなと思います」

―監督にお伺いします。選手の絞り込みという部分で、ある程度メンバーをこの試合で前半後半劇的に入れ替えるのか、あとポリバレント性という部分で同じ選手でも今までやったことのないポジションをあえて試合で試してみるのか、どういうゲームのプランを考えてらっしゃいますか?

手倉森「ゲームの状況に応じてシステムを動かすことができる選手がいればそれを実行していきたいな、と思います。それが攻勢なのか劣勢なのか。特に劣勢の時にそういった違う顔を見せなければいけないだろうな、と。

あと一つは、Jリーグの試合が金曜日にあるチームがあるのでその辺はしっかりとコントロールしてあげなければいけないな、というのは俺の中には考えがあって。その分いろんな選手にチャンスを分け与えられるなと思っていますから。

そういったところでもメンバーの交代を効果的にする必要があるなと思っています」

―メンバー表を見ると、サイドバックの選手が4人いて、MFに伊東純也選手の名前があるんですけども、伊東純也選手をサイドバックとして見ているのか、今回これは4-4-2のサイドハーフの選手として見ているのか…個人的なところなんですけども。

手倉森「サッカー選手として見ていますね。

彼は中盤に上がってからゴールに直結するプレーができているので。4-4-2のサイドアタッカー、あともともとFWをやれるというのでね。

アフリカ勢もスピードある選手もいますけど、アフリカ勢を驚かせるスピードスターとして良いタイミングで使えればと考えていますね」

―さきほどオーバーエイジの話が出たので、霜田さんと監督のどちらにもお伺いしたいと思います。霜田さん、海外から帰ってこられていろいろ手倉森さんとコミュニケーションを取られてると思うんですけど、海外組のオーバーエイジというのはまだ選択肢の中に入っているのでしょうか?お二人の話の中でどういう状況かを言える範囲で教えていただければと思います。

監督、さきほど『U-23の世代を本大会で育てることを考えなければいけない』とお話をされていましたが、一応霜田さんは会見の以前、我々の前でのブリーフィングの中で『オーバーエイジを使う』と仰いましたが、監督の中でオーバーエイジを使わないという選択肢もあるのでしょうか?

手倉森「北京の時、使おうとして使わなかったっていうね。実際の経験がありますから、そういうのも起こりえるのかなと思っています。

U-23を育てたい、育成したいと。今このグループの中ではものすごく正しい競争が育まれている。だからこそこの短い期間で成長してきている。その可能性を見た時に、彼らでやり切るというのも一つの手段だなと思ってますけども。

オーバーエイジを使うというような話になれば、彼らはもっと成長スピードを高めなければいけないというね。そういうことも考えた時に、最初から使わないと言い切れないし。

U-23の選手たちに何があるんだというのを考えた時に、そこに対しての補強はオーバーエイジというルールがあるということに対して思いを置かなければいけない。幅を持たせるためにこういうことを進めてきました。

協会にもそうやって動いてもらっているし、いろんな情報を取ってね。最後は縁のある人がここに組み込まれるだろうな、という話をしています」


霜田「現場は監督以下選手、スタッフ、そして日本のサッカーを応援していただいている皆さんがオリンピックで活躍してほしい、メダルを取ってほしいということが一番だと思いますので、僕らはいろんな情報を取りながら、手倉森監督が欲しいという選手をなるべく揃えられるような努力はやれることは何でもやりたいなと思っています。

と同時に、先日ヨーロッパに行ってオリンピックに対するヨーロッパのクラブの肌感覚というか常識みたいなところも(聞いてきました)。

今4年前と確実に違って言えるのは、23歳という年代が世界の中では若手ではないということです。23歳以下でビッグクラブのレギュラーを取っている選手たちは、ヨーロッパリーグやチャンピオンズリーグの予備予選の方がオリンピックよりも大事だという現実があります。

実際にポルトガルやドイツの連盟の人と話をしても、23歳ですら本当に呼べるかどうか分からないという現実があります。Jリーグは日本の国の中で『オリンピックには協力しましょう』ということで、期間中Jリーグは止まりませんけども、オリンピックに選手を出していただける。国をあげてオリンピックチームを応援して戦ってこいよ、と言ってくれる。

その中で選手もクラブも行って来いと言ってくれるようなオーバーエイジの選手が望ましいと思っていますし、海外組は選手が『どうしても行きたい、オリンピックで力を貸したい』と言っても、僕の交渉の力ももちろんそうなんですけども、そういうクラブでルールを剥がしてでもこちらに引っ張ってくるということが可能かどうか。

先日も言いましたけれども、もし現場がトライをしてほしいということであればそれはトライはします。なので日程でリミットでギリギリ決まっているまで現場と話をして、監督がどうしてもこの選手をオーバーエイジとして連れて行きたい(と言うのであれば)、それが海外のクラブであっても一度交渉はしたいと思っています。

ただそういう現実と同時に、理想と現実のギャップの間のでチーム編成をしなければいけないのがこのアンダーカテゴリーの代表チームの宿命みたいなところがありますから、それも合わせて皆さんにご理解いただいたなかで最善を尽くしたいと思っています。

オーバーエイジに関してはまだまだいろんな局面が出くると思いますので、そっと見守っていただければと思います」