■NBAプレーオフ2016@カンファレンス・セミファイナル展望

 いよいよNBAプレーオフはカンファレンス・セミファイナルへと突入した。ファーストラウンドから勝ち上がってきた8チームのうち、生き残る4チームはどれだ?

[カンファレンス・セミファイナル対戦カード]
【イースタン】
クリーブランド・キャブス(1位)対アトランタ・ホークス(4位)
トロント・ラプターズ(2位)対マイアミ・ヒート(3位)
【ウェスタン】
ゴールデンステート・ウォリアーズ(1位)対ポートランド・トレイルブレイザーズ(5位)
サンアントニオ・スパーズ(2位)対オクラホマシティ・サンダー(3位)

 レギュラーシーズン、73勝9敗――。今季のゴールデンステート・ウォリアーズの特出した強さを見せつけられると、多くのファンはプレーオフでもウォリアーズの独壇場が続くと予想したはずだ。

 しかし、アクシデントが発生する。ヒューストン・ロケッツとのファーストラウンド第4戦で、チームを牽引するステファン・カリー(PG)がコート上の汗でスリップし、右ひざを負傷。MRI検査の結果、手術の必要こそないものの、2週間後に再検査する運びとなった。つまり、順調に回復したとしても、カンファレンス・セミファイナルの第4戦あたりまで、ウォリアーズはカリー抜きで戦わなければならない。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

 それでも5月1日に行なわれたポートランド・トレイルブレイザーズとのカンファレンス・セミファナル第1戦は、ウォリアーズが118−106で圧勝した。カリー不在の穴を埋めたのは、もうひとりのシューターのクレイ・トンプソン(SG)。7本のスリーポイントシュートを含む37得点の活躍で、カリー抜きでもウォリアーズの優位は揺るがないことを証明して見せた。

 しかしトレイルブレイザーズも、このままでは引き下がらないはず。ファーストラウンドでは、優勝候補の一角だったロサンゼルス・クリッパーズを破ってカンファレンス・セミファイナル進出。その実力は決して侮れない。

 クリッパーズは第4戦でブレイク・グリフィン(PF)が左足四頭筋を痛め、クリス・ポール(PG)が右手を骨折。2枚看板を同時に失うという不運が重なった。ただ、下馬評で圧倒的有利だったクリッパーズに災難が続き、次なるウォリアーズ戦では強敵カリーが欠場中と、トレイルブレイザーズが"運"を持っているのは間違いない。エースのデイミアン・リラード(PG)と、MIP(※)を獲得したC・J・マッカラム(SG)の活躍次第では、このシリーズでも波乱を巻き起こす可能性は十分にある。

※MIP=もっとも成長した選手に贈る賞。

 ウェスタン・カンファレンスのもう一方の組み合わせは、サンアントニオ・スパーズ対オクラホマシティ・サンダー。このカードは、2012年と2014年のカンファレンス・ファイナルと同じだ。2012年はサンダーが、2014年はスパーズがそれぞれ4勝2敗で勝ち抜き、NBAファイナルへと進んだ因縁深いカードである。

 今回も激戦必至と思われたが、第1戦はスパーズが前半だけで30点差をつけ、最終スコア124−92で初戦を制した。スパーズの中心人物は、昨季に続いて今季もディフェンシブ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーを受賞したカワイ・レナード(SG)。2年連続の受賞は史上8人目であり、センターポジション以外での連続受賞は1990年〜1991年のデニス・ロッドマン以来の快挙だ。

 今季のスパーズはホームでわずか1敗しかしておらず、ホームコート・アドバンテージを持たないサンダーの不利は否めない。だが、サンダーは今季得点ランキング3位(平均28.2得点)のケビン・デュラント(SF)と、同8位(平均23.5得点)のラッセル・ウェストブルック(PG)という「2枚看板」を擁している。レナードが彼らふたりを毎試合封じ込めるのは、さすがに難しいだろう。サンダーの巻き返しは必至だ。

 対するイースタンのカンファレンス・セミファイナル。第1シードのクリーブランド・キャバリアーズは、第4シードのアトランタ・ホークスと対戦することになった。プレーオフに入ってケガ人が続出した昨季と異なり、今季のキャブスは故障者も出ず、まさに順調そのもの。間違いなく、イースタンの大本命である。

 しかし、ここまでどこかピリッとしない内容なのも事実。ファーストラウンドではデトロイト・ピストンズに4連勝するも、第1戦は5点差、第4戦は2点差と、まさに紙一重のゲームだった。第2戦は107−90で圧勝したが、それはNBAプレーオフ最多タイ記録となるスリーポイントを20本成功させての勝利。キャブスのレギュラーシーズンのスリーポイント成功率はリーグ7位でしかなく、再現性の低い勝ち方だった。

 このままキャブスがイースタンを勝ち抜いていったとしても、昨季のNBAファイナルで敗れた借りを返すためには、もう一段上へのギアチェンジが必要だろう。ホークスとのカンファレンス・セミファイナルで隠されたギアがあるのかどうか、見極めたいところである。

 そしてイースタンのもうひとつのカードは、ともにファーストラウンドを第7戦まで戦ったマイアミ・ヒートとトロント・ラプターズが対戦する。

 ヒートで注目したいのは、34歳のドウェイン・ウェイド(SG)。シャーロット・ホーネッツとのファーストラウンド第6戦では、ウェイドが2本のスリーポイントを含む23得点を挙げてチームを勝利に導いた。ふだんスリーポイントをほとんど打たないウェイドにとって、成功させたのは実に4ヶ月半ぶりのこと。優勝経験の豊富なウェイドが好調なのは、ヒートにとってこのうえない強みだろう。

 一方、第2シードのラプターズは3勝3敗で迎えたファーストラウンド第7戦、わずか3点リードで試合残り10秒を切る接戦を制し、第7シードのインディアナ・ペイサーズを破って駒を進めた。ファーストラウンド突破は、2001年以来15年ぶり。こちらも勢いに乗っている。

 ラプラーズのエースは、ドライブを武器とするデマー・デローザン(SG)。今季のブロック王に輝いたヒートのハッサン・ホワイトサイド(C)のディフェンスをかいくぐれるか、そこが勝敗を分けるポイントになりそうだ。

 カンファレンス・セミファイナルを勝ち抜けば、NBAファイナルの舞台が視界に入ってくる。どのチームがカンファレンス・ファイナルに進むのか、いよいよ目が離せない。

水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro