従来の5.1ch/7.1chからイマーシブ・サラウンドへ

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「映画好き」と言われれば言われるほど、聞きづらくなるのが映像技術の一般常識。理解しているようでいて実はよく知らない。こっそり訊ねたら「そんなこと知らないの?」と呆れられそう。本コラムでは話題の映画ブルーレイを題材にしながら、いまさら聞けない映画の一般常識や用語についてお話していこう。

●今回のお題「イマーシブ」
●オススメBlue-ray『白鯨との闘い』

今回はドルビーの最終回。ドルビーアトモスとひとことに言っても、実際には映画館上映用=ドルビーアトモス シネマ、家庭用=ドルビーアトモス ホームに分けられる。ではホームでは如何に再生したらよいのだろうか。

現在、スピーカー再生システムが5.1chの場合なら、ドルビーアトモス音声対応のAVアンプと、天井へ1組もしくは2組のスピーカーを設置して組み合わせる必要がある。天井設置が難しい場合は、イネーブルドスピーカーを利用すればよい。これはフロント左右のスピーカーの上などに設置して、天井からの反射音を利用してアトモス音声を楽しむエフェクト・スピーカーだ。

天井の設置位置はどうするのか。理想を言えばキリがないが、さほど神経質にならなくて構わない。今は、安価なAVアンプでも音場補正能力が長けているため、再生環境情報(距離や個数など)を入力するだけで適正値を算出してくれる。あとはディスクを再生するだけで、自動的にアトモスデコード(演算)されるわけだ。

「うちの部屋は狭いので必要ない」と思われる方もいるが、実は再生スペースが狭いほどアトモス効果を実感できる。

アトモスシネマ用マスターから、アトモスホームに変換する場合、データ量が膨大でディスクに収まらない。そこでBDにアトモス音声を収録する時は、すべての音声成分を維持した上でデータ量を調整するのだ。これをアトモスデコードすることで、たとえ天井スピーカーが最小の2個であろうと、オリジナルに忠実なサウンドが再現される仕組みだ。

アトモス音声未収録の作品でも、天井スピーカーを使用する「ドルビーサラウンド」モード(アトモス対応AVアンプに常設)を使えば、広大で高さのあるイマーシブ・サラウンドが楽しめる。モノラルから7.1chまで対応し、吹替え版の音場空間も驚くほど豊かになる。

前述したイマーシブとは「没入できる」「実体験のように感じる」とい意味を持つが、ドルビーアトモスはまさにイマーシブ・サラウンドの最高峰に位置するものだ。

前回紹介した『エベレスト 3D』、そして『白鯨との闘い』などは、極めてイマーシブ度の高いサラウンドを楽しむことが出来る。ドルビーアトモス再生と一般的な5.1ch再生では、映画の印象が大きく異なることも追記しておこう。(文:堀切日出晴/オーディオ・ビジュアル評論家、オーディオ・ビジュアル・ライター)

次回は5月20日に掲載予定です。

堀切日出晴(ほりきり・ひではる)
これまでに購入した映画ディスクの総額は軽く億を超えることから、通称は「映画番長」。映画助監督という作り手としての経歴を持ち、映画作品の本質を見抜くには、AV機器を使いこなすこと、ソフトのクォリティにも目配りすることを説く。

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