タックスヘイブンで現地法人の設立・運営・管理をしていたパナマの法律事務所から漏洩した、「パナマ文書」が世界を震撼させている。ICIJが世界各国の指導者や資本家らが設立した会社などが絡んでいることを明かしたが、実態はベールに包まれている。資料写真。

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タックスヘイブン(租税回避地)で現地法人の設立・運営・管理をしていたパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から漏洩した、いわゆる「パナマ文書」が世界を震撼させている。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が、一部を暴露、世界各国の指導者や資本家らが設立した会社などが絡んでいることが明かされたが、実態はベールに包まれている。5月10日にも公表が予定されており、その行方が注目されている。

税金逃れのため設立された現地会社の所有者の実名やその活動内容など、絶対に明るみに出ないはずだった機密情報が2.6テラバイト(紙に印刷するとトラック1000台分)も流出してしまったというのだ。

タックスヘイブンとは、金融・サービス業などの所得に対し、無税または低税率しか課していない国や地域のこと。中米パナマやカリブ海の英領ケイマン諸島など小国や島が多い。タックスヘイブンでの法人設立を支援していたパナマの法律事務所の内部資料が流出。キャメロン英首相、プーチン露大統領、習近平中国国家主席ら各国指導者や著名人の名前が飛び出した。直接関わっていたアイスランド首相が辞任するなど国際社会に大きな衝撃を与えている。パナマ文書には、この法律事務所が1万5600社のペーパーカンパニーの設立にかかわった記録があり、スイスのUBS、クレディスイス、英国のHSBCなど有力銀行も関係していたという。

タックスヘイブンに対しては、多国籍企業や富裕層の自国での課税逃れや、麻薬組織のマネーロンダリング(資金洗浄)に悪用されているとの批判が集中。経済協力開発機構(OECD)は税率や法制度の透明性を基準にタックスヘイブンのブラックリストを策定し、是正を促している。

OECDのグリア事務総長は4月12日、日本記者クラブでの記者会見でタックスヘイブンに関する「パナマ文書」について、「(発覚により)透明性に向かう動きが強まる」と強調。パナマ政府が、OECDが推進する租税回避防止策に協力すると明かした上で、近く対策会議を開く方針を表明した。

かかわったといわれる人たちは、「合法である」と釈明しているが、専門家によると、実際はすべてが合法ではない。パナマなどタックスヘイブンに資金を預けたり会社を設立したりすることは合法だが、日本など主要国は日本居住者が全世界で得た所得に対して課税し、二重課税については申告の段階で調整する「全世界課税方式」をとっている。日本の居住者は、タックスヘイブンを含めた国外で所得を得れば、日本の税務当局へ申告しなければならない義務があり、適正に納税されていなければ「脱税」になる。

2014年から国外財産調書が導入され、5000万円を超える国外財産を保有する居住者は、その保有する財産の中身を記載して税務署に提出する義務を負うこととなった。故意の不提出や虚偽記載には、1年以下の懲役刑が科せられる。ところが国外財産調書の提出者は極めて少数で、未提出者が相当存在すると言われているが、実態は不透明だ。当局がパナマ文書を解読すれば実態を把握することが可能となるかもしれない。

4月中旬にワシントンで開かれた20か国財務相会議(G20会合)は「自動情報交換の仕組み」づくりで合意。日本の居住者がタックスヘイブンを含む外国に口座を開設すれば、その情報(口座残高、利子、配当など)が自動的に各国の税務当局に送られてくる仕組みを構築することになった。2017年までに55カ国・地域が交換を始めることで合意、日本は2018年までに交換することになっている。

4月のG20会合での声明は、「特に法人及び法的取極めの実質的所有者情報に関し、金融の透明性及び全ての国・地域による透明性に関する基準の効果的な実施に付した高い優先性を再確認する」と明記。これまではアンタッチャブルだった「実質的所有者」情報の透明性を求めている。「脱税、腐敗、租税回避、テロ資金供与、マネーロンダリングの目的で悪用されることを防止するため」とされている。今後、「国際的実質的所有者」情報の交換に向けて作業が開始される。

10日にも公表されるパナマ文書に関する報告には、400あまりの日本人や日本企業の名が含まれているとされ、正確な検証と徹底的な追及が望まれる。(八牧浩行)