しっかり手のひらで「情報」も握ろう

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英単語や歴史年表......。受験勉強で覚えるのに苦労しましたよね。社会人になってからも、人の名前がなかなか出てこなくて困ったことはありませんか?

そんなアナタに驚きの記憶術を紹介しよう。覚える時は右手をギュッと握りしめ、思い出す時は左手をギュッと握りしめるという超簡単な方法だ。

いちばん成績が悪いのは左手だけでこぶしを握るケース

この画期的な方法の研究成果を発表したのは、米ニュージャージー州・モンクレア州立大学のルス・プロッパー准教授(心理学)だ。米陸軍で兵士の記憶力や認知能力を高めるメカニズムの開発も行っている女性研究者。2013年4月24日付の米科学誌「PLOS ONE」(電子版)に論文を掲載した。

それによると、プロッパー准教授は、手を強く握りしめることが記憶をつかさどる脳の前頭葉を活性化すると考え、右利きの被験者51人を対象に実験を行なった。72個の言葉が書かれたリストを見せ、ゴムボールを手の中で90秒間強く握り、その直後にできるだけ多くの言葉を暗記する。その後、もう一度ボールを90秒間強く握り、その直後にできるだけ多くの言葉を思い出して書き出すのだ。実験では、ボールを握る手を変え、被験者を以下の5つの方法に分けてテストした。

(1)右手だけ:言葉を暗記する時も、思い出す時も右手だけでボールを握る。

(2)左手だけ:言葉を暗記する時も、思い出す時も左手だけでボールを握る。

(3)左手→右手:言葉を暗記する時は左手で握り、思い出す時は右手で握る。

(4)右手→左手:言葉を暗記する時は右手で握り、思い出す時は左手で握る。

(5)握らない:言葉を暗記する時も、思い出す時もボールは握らない。

その結果、「右手で覚え、左手で思い出す」という(4)のグループの成績がもっとも良かった。ちなみに「思い出した言葉が合っていた数」のスコアをみると、(4)9.11(5)7.60(1)7.09(3)5.36(2)4.67という順番である。ほかの「暗記した言葉の数」など、ほかのスコアもすべて同じ順番だった。

左脳は情報をインプット、右脳はアウトプットするから

つまり、暗記する前には右手を、思い出す時には左手を握ると効果がアップするというわけだ。なぜ、こんな単純な動作が脳の記憶能力にいい影響を与えるのか。プロッパー准教授の説明はこうだ。

右手が左脳、左手が右脳とつながり、活性化させることはわかっている。記憶は左右両方の脳の前頭葉が重要な働きをしている。左前頭葉(左脳)は記憶を蓄積する役目を果たし、右前頭葉(右脳)は記憶を引き出す役目を果たす。だから、暗記の前に右手で左前頭葉を刺激すると、言葉をインプットすることに役立ち、思い出す前に左手で右前頭葉を刺激すると、言葉をアウトプットするのに役立つというわけだ。

この研究について、プロッパー准教授は「こぶしを握る動作が言葉の暗記力の向上にいい影響を与えることが確認できたので、今後は人の顔や物を置いた場所など、空間的な記憶にも効果があるか検証するつもりです。また、今回は右利きの人だけでしたが、左利きの人にも同じ効果があるか調べたい」と語っている。