一脚の椅子さえあれば、そこは「居場所」になる

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私たちにとっていちばん身近な家具といえば、それはきっと、椅子。
なにげなく使っているうちに、座面はその人のお尻のかたちに凹んだり、擦れたり。
やがて「家具」として意識しないほどに、その人の体の、暮らしの、一部になっていきます。
インテリア全体を完璧にしなくても、お気に入りの一脚さえ見つかればしめたもの!
自分にとって心地いい「居場所」探しとは、一脚の椅子から始まるものなのかも……。


そう考えたら、誰かにとっての愛しい一脚が、がぜん気になり始めて、行く先々で唐突に「あなたの愛用の椅子、見せてください!」と、突撃インタビューを敢行してみました。

はたしてそこには、人と、“その人以上にその人を物語る”といっても過言ではない、魅力的な一脚との出会いが待ち受けていました。

ゲストハウス経営者・原さんと、廃校の椅子



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日本酒バー兼ゲストハウス「Dot Hostel NAGANO」を営む原義直さんは、もと商社マン。

海外のお客さんを相手に日本をめぐるうちに、観光業をやろうと思ったとか。

原さん曰く、この仕事の醍醐味は、コニュニケーションのおもしろさ。

海外からの外国人宿泊客とローカルの人、シェアハウスの住人たちが交流し、ガイドブックに載っていないような地域のディープな情報を得ることができます。

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「長野市の門前町にある100年前くらいの旅籠だった一軒家を自分たちで改装し、ゲストハウスをやっています。
地域が主催する空き家見学会に参加して、この建物に出会ったんです。
ずっと苦労しつつ手を加えたのでやっぱり愛着ありますし、何より落ち着きますよね。居心地がいい。

なかでも気に入っている居場所が、この椅子ですね。まずファブリックの色が気に入って、あとヴィンテージ感というか、歴史が刻まれてる雰囲気もいいなって」


ヘアスタイリスト・土屋さんと、アーコールチェア



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土屋彰徳さんは、ヘアスタイリスト。東京やイギリスで暮らし、さまざまな土地で生活をしたのち、故郷である長野に戻り、自身のサロン「PHAMILEE」をオープン。

オープン当初に見つけたイギリス生まれのアーコールチェアを、お店でも、自宅でも使っています。

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「美容師というのは流行り商売なので、若い頃は時代とともに好きなものも変わってましたけど、歳をとるにつれて落ち着いてきて、客観視できるようになりました。大人になった強みかもしれない。
今、興味があるのは表面よりも中身的なこと。生き方を楽しく、豊かに暮らすこと。

この椅子はお店をダイニングキッチンのイメージにしたくて選びました。
基本、シンプルで地味。メイドインUK独特の荒っぽい感じとか、暗さみたいなのが出ている気がします」


北欧インテリアショップオーナー・しろたさんと、アクリルの椅子



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しろたあさこさんは、手工芸品や、北欧のインテリアを扱う「Chauffør(シェフォー)」というお店を、軽井沢で切り盛りしています。

縫うことは、彼女にとってとても大切な仕事のひとつ。店の奥にある小さなアトリエには、ミシンとアクリルの椅子があります。

イタリア製の古い椅子で、デザイナーズっぽさと、業務用の素っ気なさが共存しています。「これが意外と座り心地がいいんです」と、彼女は言います。

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「けっこう軽いから、すぐに移動できるのもいいですし、私、前のめりで作業をしたいほうなので、あんまりやわらかすぎると安定しないから。
あと背もたれのところが可動式なっているので、ふう、とひと息つく時も楽ちんです。
硬くみえるのに、硬さをあまり感じさせない。ただの折りたたみ椅子でもない。そのへんにありそうなんだけど、ない。
自分の働く毎日に、ちょうどいい椅子かもしれません」


こうして見ると、「ちょっと素敵だな」と思う人のそばには、やっぱりこれまた素敵な“相棒”がいるもの。

人と椅子を巡るポートレートと「物語」の採集は、まだまだ続きます。

詳しくは、haluta365 レギュラーブック「いすのポートレート」を随時チェックしてみてください!

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