連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第4週「常子、新種を発見する」第26話 5月3日(火)放送より。 
脚本:西田征史 演出:松園武大


鞠子(相楽樹)の制服をこっそり着て、あやまって破ってしまった富江(川栄李奈)。それを縫い直そうとした常子(高畑充希)だったが、あいにく家のミシンが壊れていた。仕方なく、滝子(大地真央)の家でこっそりミシンを借りるが・・・。
ここのところドタバタやほのぼの話が多かったが、君子(木村多江)の妾問題以来、久々にシリアス回。
学校に行きたいのに言い出せず、家業を手伝う富江。父・宗吉(ピエール瀧)は娘の気持ちにまるで気づいていなかった。
ひとり娘君子が出て行ってから青柳家に養子にもらわれた清(大野拓朗)は、養母・滝子に気を使って本音を言えないでいる。
「実の娘でもそうなんだ(口調を変えて)養子の私がわかりあうなんて到底無理な話なのかなーと」
清のわざとらしいしゃべり方はもしかして、「あさが来た」の新次郎みたいな世を忍ぶ仮の姿なのか?
と思わせるような台詞だ。もっとも、その後、結局、トラブルメーカー的な行為に及んでしまう残念な人ではあるが。
そして滝子はフェネックギツネみたいな鋭い瞳で常子を見つめ、「どうなりたいんだい?」と問う。
「小学校を出て働いている子もいれば、女学校へ行ってさらに上を目指す子もいる。結婚し家に入る子もいれば、職業婦人になる子もいる。」
女の生き方問題を直球で突く滝子。

だが、常子の頭の中は「妹たちを嫁に出し、家族を守ることができれば」ということだけで、ほんとうにやりたいことなど思いもよらない。
父の代わりになろうとする長女・常子、家の手伝いをしようとするひとり娘・富江、養母に気をつかう養子・清・・・と三者三様、親に気を遣っている子供たちによって「女の生き方」というよりは「子供の生き方」が問題定義された26話だった。
そういう意味では君子は親より自分の欲求に正直に生きた人。おとぎ話のハッピーエンドについて、ここで終わっているからいいようなもののこの後の生活が思いやられるみたいな文言があるが、君子は、そんなおとぎ話のヒロインのその後みたいな人生を送っている。
愛する人と生きることを選び家を捨てた母、自分の代わりに父になれとかっこいい遺言を残した父(西島秀俊)、情熱のまま突き進んだ両親のためにがんじがらめになっている常子は、これからどう解放されていくのか。がんばれ、とと姉ちゃん。
(木俣冬)