VR映像クリエイターが「カメラ」を自ら制作した理由

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ヴァーチャルリアリティ(VR)映像制作を手がけるスタートアップCondition Oneは、自ら新しいVRカメラ「Bison」を開発した。その頑丈なボディは、VR撮影の現場を大きく広げうる。

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ヴィデオコンテンツ制作者向けの毎年開催されるトレードショー「NABショー」では、あちらこちらでヴァーチャルリアリティ(VR)を目にすることだろう[編註:ショーは4/18〜21に開催された]。

VR映像制作の先駆けでもあるスタートアップのCondition One(コンディション・ワン)は「Bison」という新しいVRカメラをお披露目した。360度撮影仕様のこのカメラは、同社の手法としても有名な“ランアンドガン・スタイル”、つまり移動しながらのドキュメンタリー撮影用につくられている。ただしこのカメラは市販品ではなく、VR映像制作を行うための企業向けツールという位置付けだ。ゆえに、もしこのカメラを使いたいなら、コンディション・ワンに撮影を依頼する必要がある。

ここからは、カメラ自体Bisonについて説明していこう。

Bisonという名前は、コンディション・ワンの創設者ダンファング・デニースが初期の試作品にちなんで名付けられた。16個のカメラから構成されており、フル3Dの音声とともに完全なる360度映像が撮影でき、解像度5.7K、最大で48フレーム/秒(FPS)、1回の充電で最大2時間の撮影が可能だ。頑丈なアルミニウム製、強力な冷却システムを装備し太陽がふり注ぐ炎天下でもへっちゃらだ。三脚はカーボンフファイバー製で、壊そうと思ってもそう簡単には折れない。

カメラの最短焦点距離は2フィート(約60cm)で、これはデニースご自慢のポイントだ。「わたしたちは至近距離の存在感にこだわってきたのです。被写体が手の届く範囲にあれば身近に感じ、まさしくその存在を体感することができるのです」

現在のVRカメラ市場において、Bisonのポジションは「中の上」といった具合だ。VRに超ハイエンドなREDカメラを搭載したありえないほど高価で煩雑な「HypeVR」や、グーグルの「Jump」、GoProの「Odyssey」、そしてフェイスブックの「Surround 360」などがある(Bisonはこのなかで単品としてはSurround 360に近いだろう)。どのカメラも大きくて高価、そしてほとんどは複数のカメラから構成されている。

その対極にあるのが、リコー「Theta」といった超シンプルな360度カメラだ。しかし、こうした製品は「プロ用」のカメラではない。コンディション・ワンはBisonについて、「VRにおけるデジタル一眼レフ」のような存在と捉えているようだ。よりコンパクトで使いやすいが、アカデミー賞も狙えるプロ仕様でもある。

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同社はこれまで開発を続けるなかで、VR映像制作における経験を重ねてきた。デニースは起業してVRに取り組む以前には、長い間、戦争写真家として活動していた。彼がランアンドガン・スタイルを好むのはそうした背景もあるのかもしれない。

しかし、動き回るのはVR体験としてはあまりよろしくはない。映像に酔ってしまうからだ。だからもし開発可能であったとしても(実際には不可能だが)、肩に担いだりもしくはハンディタイプに入れ込んでもあまり意味がない。

より重要なのは、Bisonはどんな場所においても大丈夫なほど頑丈にできているという点だ。0.5マイル(約800m)離れたところからカメラをリモコン操作もできるので、360度の撮影に自分が写らないようにしながら撮影できる。

デニースいわく、カメラ開発に取り組む過程における最大の壁は撮影そのものではないという。最も難しいのは、撮影した映像を「つなぐ」ところにある。複数のカメラで撮影した映像を正しく見えるようにつなぎ合わせることは困難かつ大変な仕事だ。

解決策は、何といっても映像をすべてシームレスにすることである。そこで、自分たちでハードウェアをつくってしまえば、付属するソフトウェアも簡単に構築できるというわけだ。