新幹線と中国高速鉄道が世界各国の鉄道市場で受注競争を展開しているのは周知の事実だ。近年は中国がインドネシアの高速鉄道計画を受注する一方で、日本はインドやタイの政府と新幹線導入で事実上合意しており、両国の競争は一進一退にあるといえる。(イメージ写真提供:123RF)

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 新幹線と中国高速鉄道が世界各国の鉄道市場で受注競争を展開しているのは周知の事実だ。近年は中国がインドネシアの高速鉄道計画を受注する一方で、日本はインドやタイの政府と新幹線導入で事実上合意しており、両国の競争は一進一退にあるといえる。

 激しい火花を散らす日中の受注競争は両国の一般国民にとっても大きな関心の的だが、鉄道産業にかかわる当事者の立場にあれば、その競争心は一般国民の比ではないだろう。

 中国メディアの中国新聞社はこのほど、中国高速鉄道の溶接技師が「技術を以って報国のため」、日系企業からの高額報酬の提示による転職を拒絶した過去があると伝えている。

 記事は、中国の国有企業であり、中国最大の鉄道車両メーカーには、中国でもトップクラスの技術を持ち、鉄道分野の溶接技師を代表する人物がいることを紹介。同技師は機械では対応不可能な溶接を担当し、数々の技術的難題を解決してきた経歴を持つと伝えた。

 続けて、同技師がかつて日本の造船メーカーの仕事を請け負った際、「製品を精密に作ることに長けている日本の技師ですら、同技師の技術には舌を巻いたほど」と伝え、日本の造船メーカーは同技師に対して高額の給与を提示し、引き留めにかかったが、同技師は「技術で国に報う」ことを理由に拒絶したと伝えている。

 また記事は、同技師はこれまでに複数の溶接方法を考案し、高速鉄道車両の生産におけるボトルネックを解決してきたと紹介。金額に換算すれば、1000万元(約1億6400万円)以上のコスト削減に貢献したことになると評価したうえで、2015年には優れた労働者を称える「労働模範」に選出されたと紹介した。

 中国では近年、中国企業が成長するためには日本企業のように品質にこだわる「匠の精神」を身に付ける必要があるとの主張が盛んに叫ばれているが、同技師の技術が本物なのであれば、すでに中国にも匠の精神を持つ技術者がいるということになるだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)