「教育機関での医療ケア」 その難しさと課題

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執筆:Mocosuku編集部


2015年5月22日、鳥取市の鳥取県立鳥取養護学校で、同校で働く看護師全員(6名)が辞職願を提出するということがありました。
その影響により、医療ケアが必要な児童生徒の一部が通学できなくなったそうです。


なぜそのような事が起きたのか、また一体なにが問題だったのか、
この件を基に、「医療現場」と「教育機関の医療ケア」の違いについて、考えていきたいと思います。

この養護学校では看護師側が、「ケアの必要な子どもの数が増えていること」「学校側の配慮が足りなかったこと」を指摘しています。
学校で働く看護師の業務自体の多忙さに加え、医療と教育という異なる領域にまたがる組織運営の難しさがうかがえます。

ここでは「学校で働く看護師の位置づけ」を見ていきましょう。

保健の先生とは違う学校の看護師


学校で生徒の健康管理にあたる先生といえば、まず、保健の先生が思い浮かびます。保健の先生は、正式には「養護教諭」という職業です。
「養護」という言葉が入っているために、養護学校で働くこともできそうですが、実際には働くことはできません。

養護学校で働くには看護師免許が必要です。
養護学校には、たんの吸引を必要とする生徒、病弱な生徒、視覚や聴力に障害を持つ生徒が通います。
養護学校に看護師を配置すれば、そうした生徒たちのケアを充実させることができます。先生も生徒も授業等に集中でき、教育の質の向上が期待されます。

医療現場とは異なる教育機関


看護師側にとって学校という職場は、日々成長する子どもたちを支え、応援する、やりがいのある場所となり得るものです。
医療現場と異なるのは、学校が教育を目的する場であって、医療行為は補助的な位置づけとなる点です。

また、一緒に働くスタッフの顔ぶれも全く異なります。病院では、医師を中心とし、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、社会福祉士といった多職種が連携するチーム医療が推進されています。

チーム作りへの意識は非常に高く、その中で看護師は重要な役割を担います。

一方、学校現場で働く職業といえば、やはり学校の先生が中心になります。
学校現場で連携といえば、多くは同じ先生同士の連携のことであり、そこに多職種間の連携という意味合いは希薄であるといえます。

現在の医療がチーム医療でなければ成り立たないものであるがゆえに、医療現場には互いの専門性を尊重する文化があります。
医療現場に比べると、学校現場における多職種間連携の歴史は浅く、教育・医療の優れたチームづくりが今後ますます求められるようになるのではないでしょうか。

<参考>
『鳥取養護学校「モンペ」批難の保護者反論「子どもが死んでもいいと思ってるんじゃないですか」』(J-CAST テレビウォッチ)
http://www.j-cast.com/tv/2015/06/12237613.html

『医療的ケアを担う看護師が特別支援学校で活動する困難』(大阪医科大学看護研究雑誌第2巻)
https://www.osaka-med.ac.jp/deps/dns/pdf/zasshi/07.pdf#search='%E9%A4%8A%E8%AD%B7%E5%AD%A6%E6%A0%A1+%E7%9C%8B%E8%AD%B7%E5%B8%AB+%E6%96%87%E9%83%A8%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%9C%81'