安倍晋三公式サイトより

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 昨日からの憲法記念日特別企画では、急加速している安倍政権の憲法改正の動きについて指摘してきた。実際、安倍首相の発言は最近、明らかに前のめりになっており、極右団体と連動した改憲の国民運動が様々な場所で展開されている。そして、これに呼応するように、マスコミでも、ネット上でも、憲法改正の勇ましい声ばかりがあふれている。

 ところが、国民の意見はこうした動きとまったく逆の方向に向かっているようなのだ。改憲ありきの安倍政権やマスコミとは裏腹に、世論調査では「憲法改正すべき」という意見が急激に減少、「憲法を守ろう」という意見が増加しているのだ。

 NHKが先月4月15日から3日間実施した全国電話世論調査で改憲の必要性を聞いたところ、「改正する必要があると思う」が27%、「改正する必要はないと思う」が31%、「どちらともいえない」が38%だった。一見、両者は拮抗しているように見える。

 だが、実はNHKは2007年から今年で5回同じ質問をしているのだが、「改正する必要はないと思う」の割合が一番高かったのが、今年の調査だったのだ。

 たとえば、第一次安倍政権時の07年のNHK世論調査では、「改正する必要があると思う」が41%で、「改正する必要はないと思う」の24%を大きく上回った。また第二次安倍政権が本格始動した13年調査でも、"必要"42%に対し"必要ない"がわずか16%だった。ところが、14年以降、"必要"が大きく割合を落とし28%、"必要ない"が26%と拮抗、15年もほぼ同じ数字が出た。そして、今年の調査ではついに"必要ない"が僅かながら"必要"を上回ったのである。

 こうした結果が出ているのは、NHKの調査だけではない。たとえば、朝日新聞が今年3月から4月に実施した全国郵送世論調査では、憲法を「変える必要はない」が昨年3月調査の48%から55%に増えた一方、「変える必要がある」は昨年の43%から37%に減少。また、共同通信社が4月末に実施した全国電話世論調査でも、安倍晋三首相の下での憲法改正に「反対」が56.5%で「賛成」の33.4%を大きく上回っている。

 ようするに、安倍政権が、解釈改憲によって強行した安保法制など、その打ち出すタカ派の政策の数々、そして「任期中に着手する」として一方的に改憲へと邁進していることに、国民は明確に危機感を募らせているのだ。それは、立憲主義を無視した暴挙を繰り返す安倍政権への、従来の"護憲派"の枠を超えた国民のアンチテーゼでもある。

 これはなにも9条の議論だけにとどまらない。安倍政権と日本会議が打ち出す緊急事態条項の新設についても、これは国民の要望から生まれたものではない。毎日新聞が東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の42自治体に尋ねたところ、回答した37自治体のうち「緊急事態条項が必要だと感じた」としたのは、わずか1自治体だけだった(4月30日付朝刊)。

 しかし、安倍政権はこうした世論調査や自治体の意見に耳を貸すことはないだろう。国民がいくら憲法改正に反対しても、議会で3分の2をおさえてしまえば、そのまま一気に改憲に着手するはずだ。

 改憲の動きを止めるためには、ただ反対を口にしているだけでは足りない。7月の参院選では、他の政治的課題をいったん棚上げし、改憲勢力をひとりでも多く落選させる必要があるだろう。
(編集部)