近視は2倍、強度近視は5倍に(shutterstock.com)

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 2050年までに世界人口の約半数が近視になり、10人に1人が強度近視になるという予測データが、オーストラリアの研究結果から得られた。

 この研究はオーストラリアのBrien Holden Vision Instituteおよびニューサウスウェールズ大学のBrien A. Holden氏らによるもので、2016年2月11日オンライン版『Ophthalmology』で発表された。

 Holden氏らは、1995年以降に発表された世界各国の住民研究を対象にシステマチックレビューとメタ解析を実施し、2000〜2050年の「近視」および「強度近視」の罹患率と継時的変化を予測。

 その結果、2000年における世界の近視人口は14億600万人(世界人口の22.9%)、強度近視は1億6300万人(同2.7%)であり、2050年までに近視人口は47億5800万人(同49.8%)、強度近視は9億3800万人(同9.8%)に増加すると予測された。

 50年間で近視は2倍、強度近視は5倍程度増加することになる。

 近視人口には地域差があり、遺伝的要因が関与していると言われている。しかし、ここまで急増する背景には、電子機器の多用など近距離を見つめる作業の増加や、屋外活動の減少による光曝露量の低下といった環境要因が関与しているのではないかとHolden氏とらは考察している。

 屋外活動時間が長いと近視率が低下するという研究データがすでに発表されており、日光に当たることで神経伝達物質のドーパミンが分泌され、眼球にプラスに作用するのではないかと考えられている。

そもそも強度近視って何?

 ここで強度近視の定義を確認しておこう。

 強度近視とは近視の「度数」が強い状態のことを指す。今回の研究でHolden氏らは、マイナス0.50ディオプター以下を「近視」、マイナス5ディオプター以下を「強度近視と」して分析を行った。この「ディオプター」というのは「度数」の単位である。

 混同している人が多いかもしれないが、度数と視力は同じではない。視力が物体を識別する能力を示すのに対し、度数は近視や遠視の程度を表すもので、「正視」の状態を「0」として、近視の場合はマイナスになり、遠視の場合はプラスになる。

 そして視力と度数はパラレルではなく、視力検査だけでは度数はわからない。近視の程度を正確に判定するには、「度数」の計測が必須となる。
強度近視の怖さは合併症。失明に至ることも

 Holden氏は論文の中で、「今回の結果は、近視進行を防ぐための包括的な眼科医療サービスの計画と、合併症や失明を予防するための強度近視の管理の重要性を示唆するものである」と述べている。

 強度近視の怖さは、視力が低下することだけでなく、さまざまな目の病気を合併するところにある。特に怖い合併症に、網膜剥離がある。

 眼球の内側の壁には「網膜」という神経の膜が張り付いている。ところが近視になると、眼軸長(角膜から網膜までの長さ)が伸びるため、網膜が引っ張られて穴が開きやすくなり、そこから網膜剥離が起る。

 対処が遅れれば失明にもつながりかねない。網膜剥離のほかにも、黄斑変性や緑内障をはじめ、さまざまな合併症を引き起こすことが知られている。

 日本は国民の約4割が裸眼視力0.3未満の「近視大国」だが、そのリスクについて認識が薄いことは、これまで本サイトでも紹介してきた(「近視の人もほとんど知らない"強度近視" 放置すれれば失明の恐れも」)。

 早期に予防し、治療するための第一歩は、リスクを理解することから。まずは自分の近視度数をしっかり把握しておくために、定期的に専門の検査を受けることを徹底したい。強度近視が疑われれる場合には、迷わずに眼科を受診して相談してみよう。
(文=編集部)