尾のない彗星「Manx」、地球とほぼ同時期・場所で生まれた岩石質の小天体と判明。太陽系初期の状態を保存か

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2014年に発見され、860年の周期をもつとされる「マンクス」こと C/2014 S3彗星が、岩石質で構成されていることがわかりました。これはこの彗星が太陽系の初期、惑星が形成されていった時期に、後の地球とほど近い場所にあったことを意味します。一般的な彗星は氷や凍結したガスで形成されているため、太陽に近づくにつれ氷やガスの蒸発量が増え、その尾も大きく長くなります。一方、2014年に発見されたマンクス彗星は非常に暗く、実質的に尾がありませんでした。そしてその後の研究で、彗星が岩石質でできた核のみで構成されており、尾のものとなる氷などの物質に覆われていないことが判明しました。

しかも、この岩石質は普通なら地球周辺、小惑星帯の小天体などでみつかることが多い材質と考えられます。天文学者らは、太陽系の惑星が形成され現在の軌道に落ち着いていく一方で、マンクス彗星はそれらの重力場によって弾き出され、太陽系の外縁部、オールトの雲と呼ばれる位置まで追いやられたと考えました。



太陽系の外縁部まで飛ばされれば、エネルギー放射による物質の劣化や変化が起こりにくくなります。つまりマンクス彗星は太陽系の状態を保ったまま現在に至っている可能性があるわけです。ただ、マンクス彗星ひとつを調べれば、太陽系が形成されていった頃の全容が解明できるというほど簡単なことではないようです

天文学者らはマンクス彗星のような岩石質の彗星を今後も多数(50〜100個)発見し、それらの分析研究を積み重ねることで、たとえば初期太陽系の惑星たちが軌道の"場所取り"で争ったのか、逆におとなしく現在の位置に収まったのかをシミュレーションできるようになるだろうと語っています。

ちなみに、マンクスとは英国王族領であるマン島にルーツを持つ猫のこと。マンクスは尻尾が短いのが特徴なので、この彗星の名前にピッタリです。

蛇足。尾が短い猫といえば日本猫もそうですが、こちらは特に品種としては定められていません。また第ニ次世界大戦以降、外来種との交配が進んでしまったため、現在では純血の日本猫はほぼ絶滅状態とも言われています。ジャパニーズ・ボブテイルは日本猫をもとに米国で品種改良を加え固定化されたもので、厳密には日本猫とは異なる種とされます。