ビーチバレーボール界の「ニューヒロイン」として期待される、坂口佳穂(さかぐち・かほ/20歳)の新しい"夏"が始まる。

 デビューイヤーとなった昨季は、さまざまな選手とペアを組んで、技術を吸収し、経験を積んだ"学び"のシーズンだった。その分、結果を出すまでには至らなかった。3大会に出場した国内トップツアーにおいては、一度も決勝トーナメントに進むことができなかった。

 しかし、今季は違う。インドアのV・チャレンジリーグ、柏エンゼルクロスでも活躍した鈴木悠佳子(すずき・ゆかこ/28歳)とペアを組むことが早々に決定。(株)マイナビとの所属契約をはじめ、大型のスポンサードを受けるなど、シーズンを戦う環境が整った。

 また、坂口自身、昨季「筋力、体力が足りない」と痛感したフィジカルや基礎スキルを向上させるため、2月に沖縄で2週間、3月にはアメリカ・ロサンゼルスで1カ月に及ぶ長期合宿を敢行。あらゆる面でレベルアップを図ってきた。

 そしてその成果は、すでに表れている。体がひと回り大きくなって、「砂の上での動きがよくなっている」と、関係者がその成長ぶりに目を細める。実際にこれまで、プレシーズンマッチにあたる2大会に出場し、国内トップクラスのチームも参加する中、優勝と3位という結果を残した。

 さらに4月には海外遠征も行なって、AVCビーチツアー・パレンバン・オープン(インドネシア)に出場。決勝トーナメントには進めなかったものの(予選リーグ1勝2敗)、多様なスタイルのバレーを体感し、今後に向けて大きな収穫を得た。

 さて今季、ビーチバレーボールの国内ツアーは再編され、トップツアーとなる「ジャパンビーチバレーボールツアー2016」は、昨季よりも7大会増加。5月から10月まで、6カ月間で全12戦が行なわれる。

 坂口に望まれるのは、同ツアーでの結果がともなった活躍である。初の決勝トーナメント進出はもちろんのこと、坂口本人も目標とする「優勝」への期待もかかっている。

 そのためにも、まず注目されるのは、ツアー初戦となる「第1戦 東京大会/マイナビシリーズ」(5月3日〜5日/東京都港区・お台場海浜公園)。そこでどれだけの結果を残して、今季に向けて弾みをつけられるか、だ。

 同大会には、ワールドツアーを転戦する日本ランキングトップの西堀健実(にしぼり・たけみ/34歳)&溝江明香(みぞえ・さやか/25歳)ペアも参戦。対戦する機会があれば、"世界レベル"を肌で感じることもできるだろう。

 試合では、チーム戦術としてパートナー・鈴木の決定力を生かしたいところ。鈴木がビーチに転向したのは、坂口と同じく2014年。経験は浅いが、レシーブなどバレー技術は高い。とりわけ、身長178cmと高さがあって、スパイクの強さには定評がある。その武器を存分に繰り出して、勝利をモノにしたい。

 とすれば、勝敗のカギを握るのは、坂口のがんばりと粘り。スキルアップしたレシーブと、得意のオーバーハンドトスを駆使して、鈴木のスパイクにどれだけつなげられるか。

 坂口佳穂の新たなシーズンが始まる。その勇姿に注目である。

小崎仁久●文 text by Kosaki Yoshihisa