WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 マスターズ最終日、アーメンコーナーの12番パー3で「7」を叩いて自滅し、大会連覇を逃したジョーダン・スピース(22歳/アメリカ)。

「立ち直るには、しばらく時間がかかる」と言い残して、会場のオーガスタ・ナショナルGCをあとにした彼は、以降、1試合も出場していない。

 いったい、スピースはどこで何をしているのだろうか?

 そう思った矢先、PGAツアーで戦う盟友たちとバケーションをエンジョイしている姿が、先週リッキー・ファウラー(27歳/アメリカ)のソーシャルメディア(SNS)アカウントで紹介されていた。

 このバケーションに参加していたのは、そのファウラーとスピース、スピースとマスターズ最終日に同組でラウンドしたスマイリー・カウフマン(24歳/アメリカ)、そしてスピースの親友ジャスティン・トーマスという4人の若者たち。ファウラーもマスターズ初日に「80」を叩いて予選落ちし、カウフマンも同最終日に「81」と大崩れした。スピース同様、それぞれ今年のマスターズでは苦汁をなめた面々だ。

 彼らは、カリブ海のバハマにある超プライベートリゾートの『ベーカーズベイ』で、釣りやクルージング、ゲームなどに興じて、束の間のオフを満喫していたようだ。特に水着姿でゴルフを楽しんでいる様子は印象的だった。こんな彼らの姿を見ると、本当に20代のよき青年たちだとしみじみ感じる。

 PGAツアーを存分に戦う中で感じるプレッシャーや緊張は相当なものだろう。こうして大いに遊んで、そうした重圧から解放され、リフレッシュすることはとてもいいことだ。「負けたあとに遊ぶなんて」と苦言を呈すような人もいるかもしれないが、"オン"と"オフ"の切り替えは、スポーツ選手とって非常に大事なことだ。

 ちなみに今回のバケーションは、スピースや各々の選手の"傷心旅行"ではなく、マスターズの前から企画されていたことだった。実は、ロリー・マキロイ(26歳/北アイルランド)もファウラーから誘われていたそうだが、同じ時期にフィアンセと、同じくカリブ海のバルバドスでバケーションを過ごすことが決まっていた。それで、今回はパスしたという。ところが、あまりにも楽しそうな4人の写真を見て「やっぱり行けばよかった!」と、マキロイは自身のSNSアカウントにそうつぶやいていた。

 ともあれ、悲劇的な敗北を味わったスピースには、世界中からたくさんのエールが送られてきている。メジャー最多優勝を誇るジャック・ニクラウス(76歳/アメリカ)もそのひとりだ。

「いろいろな意味で、彼が今回負けたことは、のちに大きく生きてくることだろう。もし22歳のスピースがマスターズで2勝目を挙げてしまったら、彼がこれから目指すものがなくなってしまっていたかもしれない」

 ニクラウス自身、まだ20歳でアマチュアだった頃、1960年の全米オープンで勝つチャンスがあった。しかし、結果は勝てなかった。それが「よかった」と彼は言う。

「あのとき負けたから、その後、(自分は)もっとうまくなるために努力を続けてこられた。長い目で見れば、スピースのこの負けは、彼をもっと強くする」

 ニクラウスはメジャーで18勝を挙げているが、実はその裏で2位に甘んじたことが19回もある。そんな彼の言葉は重い。

 スピースもまた、これから勝利を重ねると同時に、負けることも増えていくのだ。今年のマスターズは敗れたものの、それが今後の糧になることは間違いない。

 いい例がマキロイだ。"生涯グランドスラム"がかかっていた今年、彼は再びグリーンジャケットに袖を通すことができなかったが、彼も2011年のマスターズで最終日に「80」の大叩きを喫して、目前に迫っていた勝利を逃した。しかしその後、2カ月後の全米オープンでマキロイは見事な復活勝利を果たした。以降、全英オープン1勝(2014年)、全米プロ2勝(2012年、2014年)を挙げている。

 スピースの次戦は、「第5のメジャー」と呼ばれるプレーヤーズ選手権(5月12日〜15日/フロリダ州・TPCソーグラス)になりそうだ。その先には、今季メジャー第2戦の全米オープン(6月16日〜19日/ペンシルベニア州・オークモントCC)がある。

 マスターズに続いて、ディフェンディングチャンピオンで迎えるスピース。はたして、大会連覇を遂げることができるのか。彼がどんなカムバックを見せてくるのか、必見である。

武川玲子●文 text by Reiko Takekawa