中国メディア・環球時報は4月27日、「日本の社会文明度を誇大評価してはいけない」とする評論記事を掲載した。日本のモラルや道徳の高さに学べ、という論調が目立つなかで、どのような批判的な論理を展開しているのだろうか。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国メディア・環球時報は4月27日、「日本の社会文明度を誇大評価してはいけない」とする評論記事を掲載した。日本のモラルや道徳の高さに学べ、という論調が目立つなかで、どのような批判的な論理を展開しているのだろうか。

 記事はまず、日本に行ったことのある人の多くは、日本人の礼儀正しさに深い印象を覚えると説明。そのうえで「実は事実には別の側面もあるのだ」とし、真珠湾の奇襲攻撃など歴史的な政治の問題と絡めた「事例」をその証左として示した。

 また、「中国人はモラルが低い」という問題についても「それほど深刻ではない」と解説。しばしば非理性的とされる「爆買い」を例にとり、「大多数の中国人観光客が合法的に日本へ行き、各種商品を買っており、市場経済の基本原則に背くものではない」と主張した。

 さらに、日本の街がきれいで、各種設備が充実し、利用しやすいという印象に対しては「決して、中国の都市管理がなっていないということを意味するものではない」と説明。北京・上海・広州など大都市では東京都との差は小さいとするとともに、日本は人口が中国の約10分の1、面積も約25分の1であることを示し、スケールの点からみて日本が先を行くのは当然との見方を示した。

 文章は、「中国人は日本から学ぶべきか」という問いに対しては「当然イエス」とする一方で、本来日中両国にはそれぞれ優れたところがあり、互いに学ぶべきであると主張。「軽々しく両者に高低をつけることは、『差がある相手』へのリスペクト不足だ」と論じている。

 最後には、物質と精神という側面から論理を展開。GDPや1人当たりGDPという物質の領域では双方に優位があり、ソフトパワーでは日本が強みを持っているとした。一方で、その差はすでに大きく詰まっているとしたほか、道徳については「実は日本がいいわけではない」と断じた。

 その理由として、「漢や唐の全盛期、中国の文官政府は大規模殺りくなどを国策にはしなかった」、第2次大戦では「中国人がすすんで多くの日本の孤児を引き取った」など、再び歴史的・政治的な事象を示した。

 いかにも、強硬な言論を得意とする環球時報が好んで掲載しそうな文章の内容である。日常や市民レベルのモラルと、政治的な「道徳」を混同して論じている嫌いがあり、その説得力は今一つと言わざるを得ない。「中国人の非モラル行為」の例としてあえて「爆買い」を取り上げたのもいささか違和感を覚える。他に挙げるべき例はたくさんあるはずだ。

 一方、「軽々しく両者に高低をつける」ことに対する批判はある程度的を射たものと言えるだろう。日本にも中国にも、それぞれ学ぶべき点はあるのだ。相手を上から見下すような姿勢だけは、気を付けなければならない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)