氷室京介が4月29日、名古屋ドームで、4大ドームツアー『KYOSUKE HIMURO LAST GIGS』の3日目公演をおこなった。“開幕戦”となった大阪2DAYSからセットリストを大胆に変え、本編25曲を熱演した。大阪と名古屋を終え、残すは福岡と東京。公演を重ねるごとに増す神がかり的なグルーヴ感と氷室京介の圧巻の歌唱力。そして観客のエネルギー。その光景はとてもライブ活動を無期限休止するとは思えないほど。ファイナルへと向け、まったく予想できない展開となってきた。

 この日もBOΦWY時代の楽曲を織り交ぜた豪華セットリストだった。BOΦWY時代の楽曲を大々的に取り入れた公演は、2004年と2011年におこなっている。しかし、いずれも東京公演のみだった。氷室は今回、BOΦWY時代の楽曲を組み込んだ理由についてMCで「東京しかやっていないから、大阪や名古屋ではバンド時代の曲をやったら喜ぶかなと思った。最後まで楽しんでほしい」と初めて語った。このことからもファイナルとなる東京ドームの3DAYSのセットリストはまったく予測できない。

 そして、この日は観客のボルテージは最初から最後までマックスだった。氷室の音楽やパフォーマンスに敬意を示すように、バラード曲では手拍子や体を揺らす程度でじっくりと聴き、アッパーな曲はとてつもないエネルギーで楽しむ。

 そして、この日は大阪公演よりもCharlie Paxsonのドラム、西山史晃のベースが全体的に前に出ていて、サウンドを押し上げていた。大島俊一のキーボードもそれに乗り凛とした音色で彩った。そして、YTの自由自在で優雅なギターグルーヴが踊り、忠実なDAITAのギターもこの日は規律性の上で激しく舞った。

 そのサウンドで映える氷室京介の歌声には魂が込められ、力強くも繊細で圧巻だった。TESSEI(Manipulator)の細かな調整も垣間見えた。そうした、グルーヴを大歓声をもって応える観客。相乗効果が更に相乗効果を生んだ。まさに神がかり的で、鳥肌が立つほど。公演中、悲しみを堪えた大阪公演に対して、その感情を一切忘れさせたのは名古屋公演だった。

 回を重ねるごとに増すヒムロックのグルーヴ。残る福岡、東京はどのようになっていくのか、全く予想が出来ない。(取材・木村陽仁、村上順一)

KYOSUKE HIMURO LAST GIGS

4月23日(土)・24日(日) 京セラドーム大阪
4月29日(金・祝) ナゴヤドーム
5月14日(土)福岡ヤフオク!ドーム
5月21日(土)・22日(日)・23日(月) 東京ドーム