本は“流し読み”でいい! 1日1冊読破も可能「新しい読書術」のコツ4つ

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本を読むスピードが上がらず、なかなか積ん読を解消できない。速読術を身につけたいわけではないけれど、もう少し速く読めるようになりたい。インターネットコンテンツに慣れてしまい本を読めなくなった――そんな悩みを持つ人も多いのでは?

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いま『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』がベストセラーになっています。それだけ自分の読書スタイルにモヤモヤしている人、改善したい人がいる、ということでしょう。

そこで今回、著者の印南敦史さんに読書へのマインドチェンジや、フロー・リーディングのエッセンスをインタビュー。速読術とはひと味違う「正しい流し読み」で、本と丁寧に向き合いながらも、速く読んでいく方法を学びます。

本は熟読しなくていい

今でこそ1日1〜2冊の本を読み、月間60本(!)のブックレビューを書く印南さん。1冊平均20〜30分で読了するそうですが、昔は1ページを読むのに5〜10分ほどかかっていた、と話します。

まさに書籍タイトルにある「遅読家」の一人だったわけですが、印南さんの内面でどんな意識改革があったのでしょうか。

「端的に言うと『本を読む=熟読しないといけない』といった呪縛にとらわれるのをやめました。本の中身をすべて頭に叩き込むことを前提とした読書だと、深く読み込もうとするあまり、ゆっくりじっくり読んでしまうことになります。

でも、普通の人は本を1回読んだくらいで、内容を完璧に記憶するなんてできませんよね。読書の真の価値は、たくさんの本を読んで、それぞれの中で“価値を感じるような1%”に出会うこと。その小さなかけらが集まってつながり合い、知識として大きく成長していくんです」

本はお金や時間などの各種コストをかけて読むものだからこそ、つい「元を取らないと」とケチな考えを持ってしまいがち……。それを思い切って捨て去るのが「熟読の呪縛」から自由になるための第一歩。その本を読んだことで、どんなに些細なことであっても、知識や発見が1つ頭に残っていれば良し、とするのです。

続いて、具体的なフロー・リーディングの方法を4つのポイントとして、教えていただきました。

正しい流し読みに必要な4つの心得

1:不要な箇所はどんどん読み飛ばす

「小見出しを制する者がフロー・リーディングを制します。各ユニット(単位)に何が書かれているかを端的に伝えるために存在するのが小見出し。だから『必要ない』と思うなら読み飛ばして構いません。

熟読しなければ内容をつかめないタイプの本でない限り、少し読み飛ばすくらいで流れや内容がわからなくなることはないでしょう」

2:はじめに/目次を徹底活用

「全体のノリをつかむためにも導入部分となる『はじめに』は超重要。必ず押さえておいてください。本の構造を理解するための地図ともいえるのが『目次』です。ここは熟読に値する箇所ですから、じっくり読んで自分に必要な部分の見当をつけてください」

3:キーワードを決める

「本を読む前に『何を得たいのか』をはっきりさせて、拾っていくべきキーワードを決めます。キーワードを意識するのとしないのとでは、目に入ってくる情報が変わってきます。

キーワードが含まれている箇所を中心に、A4用紙に抜き出して書く(1ライン・サンプリング、本書に詳述)のもおすすめです」

4:読書リズムを2種類以上持つ

「まずは心地良く感じられる読書リズム(基本リズム)を探ってみてください。でも、ずっと同じスピードで読んでいると、単調に感じられて、ダラダラと流し読みすることになるかも。

それを防ぐためには読み方に緩急をつけることが大事。基本リズムの1.5倍速、2倍速、5倍速など、必要な箇所とそうでない箇所で、リズムを適宜ギアチェンジしていくのです」

どれも実践あるのみ! 自宅の積ん読本でぜひ練習を。

「ぼく個人は本を読まない人生よりも、本を読む人生のほうがはるかに楽しいと考えています」と印南さん。本書を参考に、忙しい大人向けの新しい読書術を身につければ、1日1冊読破も夢じゃない!

<印南 敦史さん>

1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。
現在は他に、「ライフハッカー[日本版]」「Suzie」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、多方面で活躍中。著書は好評発売中の『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』のほか『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』などがある。