元ホストに、愛を信じているか聞いてみた
【本当の愛をめぐる冒険/第3回 元ホスト、経営者・手塚マキVol.1】

 パートナーと10年付き合っているゲイライターの渋谷アシルが、「本当の愛とはいったいなにか」を追求する冒険に出発。恋愛や男女関係のスペシャリストたちに話を聞いてまわります。

 第3回のスペシャリストは、元ホストでありながら、2014年にアーティスト集団「Chim↑Pom」のエリイさんと結婚し、新宿をデモ行進のように練り歩く斬新な“結婚式”も話題になった、ホストクラブ経営者の手塚マキさんです。

 ホストというと、「偽りの愛を切り売りする」イメージで、“本当の愛”とは対極にいるように見えます。そんな世界で長く生きながらも、まだ愛を信じられるの? 歌舞伎町の夜を生きる男の本音を直撃してみました。

◆偽りの愛はすぐにバレる

「よく誤解されるんですけど、ホストこそ、本当の意味での愛情がなければ成り立たない職業だと思いますよ」

 え? のっけからホストのイメージを覆すような発言。

「歌舞伎町で売れるホスト、つまりお客様に必要とされるホストっていうのは、より“人間味のある奴”なんです。ぼくの会社でも若い子たちに『一番大事なのは素直さだ』って入社して最初に教えてますけど、お客様がうれしい時に一緒に喜べて、哀しい時には一緒に哀しめる、そういう人間くさい奴が一番好かれるんです。

でも、それって、愛情がなきゃできない。そもそも、愛がなかったらサービスなんてできないと思うんです。だから、いろんな人に愛情を与える経験を積むホストは、誰よりも愛情深い人間だと思います」

 もちろん、中には「お金のため」と割り切って、女性を騙そうとする人もいるそう。だけど、そういった悪いホストはすぐに見破られて、大成はしないんだとか。

「ホストもお金を使ってもらうことに責任を感じるものなんです。ぼくらは“一緒に過ごす時間”を売るわけでしょう? 目に見える商品ではなく、ホスト自身の価値が問われるんです。

だから、仮に10万円使ってもらったとしたら、『はたして自分にそれだけの価値があるのか』ってことを、みんな内心感じてるんです。そして、それをお返しするために、よりお客様に楽しんでもらえるよう考える」

 シャンパンタワーで一気に百万円が飛んでいく世界なのに、ホストが自分と過ごす時間に価値があるのか? とか考えているなんて意外よね。

 愛情がないと関係が続かないと言う手塚さん。前回、岩井志麻子さんは「長く続く関係に愛なんていらない」「お金でつながる関係のなにが悪い」って言ってたけど、岩井さんの方がよっぽどホストみたいなことを言ってる気が……(笑)。

 と思ったのもつかの間、手塚さんは「愛情は売って良いと思います」と口を開いたの。え、「本当の愛」って売れるの?

☆今週の格言:偽りの愛はすぐに相手に見破られる

※手塚マキさんインタビューVol.2に続く

【手塚マキ プロフィール】
元ホストで歌舞伎町のホストクラブのグループ「Smappa!Group」会長。
歌舞伎町の街角を24時間生放送するスタジオ「TOCACOCAN」の運営も手掛ける。

<TEXT/渋谷アシル>
【渋谷アシル プロフィール】
昼間は会社員の仮面をかぶった、謎のゲイライター。これまでお付き合いしてきたオトコをネタに原稿を執筆する、陰険な性格がチャームポイント。オトコに振り回される世の女性のために、ひとり勝手にPCに向かう毎日。