今クールの“日5枠”を張っている堀越耕平原作のアニメ『僕のヒーローアカデミア』。アメコミから大きな影響を受けている一方、展開はニッポンの王道少年マンガ路線を突っ走っている作品だ。そういうの、嫌いじゃないよ!?


第4話「スタートライン」は主人公、緑谷出久(いずく)たちが国内最高峰のヒーロー養成機関である雄英高校ヒーロー科の受験に挑むお話だ。

世界人口の8割が“個性”と呼ばれる超能力を持つ時代。出久は何の能力も持たない“無個性”の少年だったが、ヒーローになりたいという強い気持ちと衝動的に人を助けることができる熱い心、そしてヒーローになるために継続してきた努力(10ヵ月のハードトレーニング)をNo.1ヒーロー、オールマイトに認められ、強力な個性“ワン・フォー・オール”を譲り受ける。

雄英高校ヒーロー科の実技試験は、市街地で仮想敵(ヴィラン)を倒してポイントを稼ぐ模擬戦だ。自らの個性を発揮し、次々と仮想敵を破壊してポイントをゲットする受験生たちを尻目に、出久はおろおろするだけで何もできない。たしかに、ついさっきまで無個性だった生身の少年がロボット相手に何かできるわけがないよね……。

残り時間もわずかだが、出久のポイントはゼロのまま。焦る出久の前に現れたのは超巨大ヴィラン! 試験会場を暴れ回るだけで、倒してもゼロポイントのお邪魔虫だ。圧倒的な脅威を目の前にして受験者たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ始めるが、出久にやさしい声をかけてくれた女子、麗日(うららか)お茶子がガレキに足を挟まれて逃げ遅れていた。

出久は(泣きながら)迷いなく、お茶子を助けに走る。手足に赤い光のラインが走り、天高く跳び上がって、渾身の一撃“ワン・フォー・オール”を巨大ヴィランに叩き込む! 崩れ落ちる巨大ヴィラン――試験をモニタリングしていたオールマイトは言う。

「あの仮想ヴィランに挑んでもメリットは一切ない。だからこそ色濃く、眩く……浮かび上がるときがある。そう、浮かび上がるのだ。ヒーローの大前提、自己犠牲の精神ってやつが」

しかし、“ワン・フォー・オール”を放ったダメージで出久の手足は複雑骨折状態。0ポイントのまま実技試験は終了……。当然、不合格だろうと落ち込む出久だが、受験生たちには秘密で“レスキューポイント”が審査されていた。緑谷出久、60ポイントゲット!

「人助けを……正しいことをした人間を排斥しちまうヒーロー科などあってたまるかって話だよ。きれいごと? 上等さ! 命を賭してきれいごと実践するお仕事だ」

緑谷出久、大逆転で雄英高校に合格! 

「来いよ、緑谷少年。ここが君のヒーローアカデミアだ」

出久の母親の喜びをきっちり描くスタッフに感謝


今回も原作に忠実なストーリー運びは健在。モブキャラのデザインや、リカバリーガールの「ババアッ!」という擬音まで原作通りだった。4話終わって原作1巻の120ページ分しか消化していなかったりするのだから、いかにじっくり物語を進めているかがわかる。

出久が個性“ワン・フォー・オール”を放つシーンの躍動感が素晴らしい。ジャンプして、タメをきかせて思いっきり殴る! こういうカタルシスはアニメならでは。しかし、その後の手足の痛々しさもハンパなかった……。

アニメ独自の描写といえば、エンディング後に出久の母親が合格を喜ぶシーンが付け加えられていた。冷蔵庫に出久の特別メニュー表が貼られているカットで終わるあたりがニクイ。派手なバトルだけでなく、人情の機微を大切にするところが『ヒロアカ』らしさだとスタッフは捉えているのだろう。

キャラクターに目を向けると、これまでは出久がいかにヒーロー(候補生)になったかを描く「オリジン」回だったが、今回からは将来クラスメイトになる麗日お茶子、飯田天哉らがストーリーに深くかかわってきた。彼らも独特の個性を携えたヒーロー候補生だ。

『ヒロアカ』はアメコミから大きな影響を受けていると前述したが、アメコミといえばキャプテン・アメリカチームとアイアンマンチームがドンパチする映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』が公開されたばかり。今後、『ヒロアカ』もどんどんキャラクターが増えていって、複数のヒーローが共闘したり敵対したりするようになっていく。雄英高校は校章のデザインが「UA」だけど、これって「Ultimate Alliance」の略なのかな?

ゲロを吐くヒロイン=ゲロイン!?


話の途中、ヒロインのお茶子がゲロを吐くシーンがある(お茶子は触ったものを浮かせる能力を持っているが、浮かせすぎると気分が悪くなる)のだが、SNSを見ると「ゲロイン認定」「ゲロインかわいい」などのリアクションが並んでいた。

筆者は不勉強ながら知らなかったのだが、最近のアニメにはゲロを吐くヒロイン、通称「ゲロイン」の存在が必要不可欠となりつつあるらしい。「ヒロインがゲロを吐くアニメは名作」という物言いもあるのだそうだ。『銀魂』の神楽、『僕は友達が少ない』の三日月夜空、柏崎星奈あたりが代表的なゲロインなんだそうだ。

お茶子が吐くのは虹色の透過光を使ったキラキラと輝くレインボーゲロ。これは不朽の名作『あしたのジョー2』で、矢吹丈のゲロを描くときに出崎統監督が使った技法だ。夜7時から放送されていた作品で、リアルなゲロを描くことができなかったという規制を逆手にとり、リング上でのたうち苦しむ丈の姿を美しく描いてしまうという伝説の演出技法だ。

『ヒロアカ』のスタッフが『あしたのジョー2』のことをどれだけ意識しているかはわからないが、手足の骨が折れるのを覚悟で“ワン・フォー・オール”を放つ出久の一種の狂気(と言っちゃってもいいと思う)は、自らの肉体を蝕むクロスカウンターでリング上の敵を葬る矢吹丈の狂気に通じるところがあるような気がしてならない。ちなみに『ヒロアカ』の長崎健司監督の出身スタジオであるマッドハウスは、出崎統監督らが創設したスタジオである。

さて、本日放送の第5話「今 僕に出来ることを」。晴れて雄英高校に入学した出久にいきなり訪れる試練とは……!?  それではご唱和ください、「Plus Ultra!(さらに向こうへ)」。
(大山くまお)