しかしながら、膵臓がんと聞いても、位置や役割がいまいちピンと来ない。
 「胃や大腸、肝臓、肺、乳房の5大がんと言われる体の部位に比べると、一般的にはマイナーかも知れません。そもそも膵臓がんは、胃の後ろあたりに位置する長さ20センチほどの臓器で、十二指腸に接しています。その役割は主に二つあり、一つ目は外分泌と呼ばれる消化酵素を作る役割、もう一つは内分泌と呼ばれるインスリンやグルカゴンといった血糖値を正常に保つホルモンを作る役割です」(健康ライター)

 つまり、非常に重要な臓器というわけだが、罹った場合は断トツに低い生存率のすい臓がん。その場合は、どのような治療が行われるのか。
 「10年生存率が非常に低い背景には、がんが見つかった時点ですでに手術の施しようがないほど進行している患者さんが半数以上にのぼり、中には肝臓などの他の臓器に転移している場合もある。加えて、患者さんに手術を行い、腫瘍を切り取っても再発する確率が非常に高いのです。たとえば、術後5年生き延びられる確率は25%〜30%の間。しかし、手術をせずに、化学療法や放射線療法等だけの場合、5年以上生き延びることが非常に難しいのも確かです。ですから、少しでも長く生きたいと思えば手術しかないのが現状なんです」(同)

 なんとか手術が可能な状態でがんを発見するには、やはり検査が欠かせない。
 「人間ドックの腹部超音波検査では、膵臓はお腹の一番奥にあるため、なかなか見つかりません。CT検査は超音波検査よりも有効ですが、医療費や機器そのものがある病院の数も限られています。そうなると一番大事なことは、糖尿病で血糖値が不安定になったり、腹痛や背中の痛みが1週間も続くような症状がある場合に、できるだけ早く検査を受けることです」(同)

 検査でがんが発覚しても長生きすることが難しいこの病に対し、最新の治療法はどうなっているのかも気になるところだ。
 「これまで手術を受けることができなかった患者さんに対し、まず薬を使ってがんそのものを小さくし、手術が適用できるように取り組んでいます。このような化学療法と手術を組み合わせた治療法を、我々、千葉大学では積極的に取り組んでいます。また、保険適用はされていませんが、重粒子線治療という方法も効果が報告されています」(同)

 日本人の死因の第1位となっているがんは、早期発見が重要だと語られることが多い。しかしながら、膵臓がんのように自覚症状がほとんどなく、痛みを訴えてから検査しても手術ができないという状況ではどうしようもない。
 少しでも長生きをするために、今日からできることといえば、過度な飲酒や喫煙を避けるといった生活習慣を見直すことや、毎日の排尿、排便を自らしっかり見るといった小さなことからコツコツ行うこと。それが重要なのだ。