増える訪日外国人、観光客を球場に呼び込めるか 西武が推し進める戦略とは
台湾に「アピール」進める西武、「台湾デー」も盛況
今月24日、西武プリンスドームで「台湾デー」が開催された。「台湾デー」の開催は昨年に続き2回目。ライオンズには、郭俊麟投手に加え、今年から加入したC.C.リー投手、呉念庭選手と3名の台湾出身選手が在籍していることもあり、台湾からの来場客の呼び込みに力を入れている。
スタジアムには、台湾出身3選手がデザインされたパネルと一緒に写真が撮れるフォトブースが設置され、パネルの前で写真撮影をするファンの姿も多く見られた。また、台湾グルメを販売するワゴンには行列ができ、売り切れが相次ぐなど大盛況で、多くのファンが台湾ムードを味わっていた。台湾のプロチームや、台湾代表のユニフォームを着たファンの姿も見られ、球場は台湾ムード一色の1日になった。
ライオンズはいつから台湾へのプロモーションに力を入れているのだろうか。西武ライオンズ事業部マネージャーの市川徹さんに聞いた。
「政府のクールジャパンの推進によりインバウンドの熱が非常に熱くなり、昨年、西武ホールディングスが台湾鉄道と友好協定を結び、グループとしても力を入れ始めました。ライオンズには、郭俊麟投手が加入したこともあり、これらが重なったことがきっかけになりました。見ていると中国語がたくさん聞こえてくるので、台湾からの来場客も増えているかなと感じます」
新しいファン獲得へ、「プロモーションのしがいがある」
パ・リーグは昨年、球場への訪日観光客の促進を狙い、日本政府観光局と連携し台湾・台北市天母棒球場で「Visit Japan Day」を開催した。ライオンズだけでなく、パ・リーグ全体で台湾へのアピールに力を入れている。
「パシフィックリーグマーケティングが中心となっていますが、パ・リーグは、国内も含め新しいファンを取りに行かなければいけないと思っています。台湾は親日家が多く、日本への旅行客が多い。
野球熱もある国なので、台湾に向けてアピールしています。ライオンズとしては、かつて郭泰源さんがプレーをし、渡辺久信前監督が台湾でプレーしていたこともあり、プロモーションのしがいがあると思っています」
ライオンズでは、この「台湾デー」を来年以降も継続して開催していくだけでなく、今後も新たな企画も検討中だという。
台湾出身選手から見た、台湾と日本のプロ野球の違いは?
この日の試合前、郭俊麟投手とC.C.リー投手に、台湾と日本の野球の違いについて話を聞いた。
アメリカでもプレー経験のあるC.C.リー投手は「先発の日のピッチャーの調整も大きく違います。台湾やアメリカでは、試合開始1、2時間前に球場入りしますが、日本は全体と一緒に動きます。どちらがやりやすいとかではなく、日本でプレーする以上、慣れなくてはいけないと思います」と話す。
また郭俊麟投手は「日本のバッターはとても粘り強い」と感じているという。「日本はたくさん観客が入っていますね。台湾は観客の数は日本に比べ少ないですが、外野、内野に応援団がいて、とても賑やかですよ」と、球場の雰囲気の違いも話してくれた。
パ・リーグとパシフィックリーグマーケティングは、FOXスポーツ台湾に試合の放映権を販売。台湾人選手のいるライオンズ、ファイターズ、ロッテの試合を中心に放映されている。
プレースタイルや応援に違いがある台湾と日本の野球。台湾の日本プロ野球ファンをいかにして球場に呼び込み、その違いを楽しんでもらえるか。ライオンズの今後の戦略に注目だ。
篠崎有理枝●文 text by Yurie Shinozaki