膠原病は患者の大半が女性(shutterstock.com)

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 女優で作家としても活動する酒井若菜さんが、今年2月に上梓した対談&エッセイ『酒井若菜と8人の男たち』(キノブックス)で、膠原病を患ったことを告白した。

 3月に行われた発売記念トークイベントの席上で酒井さんは、「19歳の頃から膠原病の症状に悩まされていたが、昨年冬から春にかけて症状が重くなって手がしんどかった。でも、そのとき連ドラ2本掛け持ちしていたので、なんとかなると思った」と笑い飛ばし、現場のスタッフの支えで乗り切れたと感謝の言葉を述べた。

 酒井さんの告白で、にわかに脚光を浴びた膠原病。患者の大半が女性という膠原病の原因や兆候、症状や治療法について、東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターの講師の田中栄一医師に訊いた。

膠原病患者の8割から9割が女性

――まずリウマチや膠原病についての医学的な認識を教えてください。

 リウマチというと、膝や腰などが痛くなる年寄りの病気で、温泉に入って治療するなどと誤解される傾向にあります。リウマチ(=リウマチ性疾患)とは病名ではなく、骨・関節・筋肉・腱・皮下組織などに痛みやこわばりを特徴とする疾患の総称のことです。

 リウマチ性疾患の中に膠原病が含まれており、さらに膠原病には、一般によく知られている病気である関節リウマチや、その他、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎、成人発病スティルなどの多くの病気が含まれています。

――膠原病の特徴は何ですか?

 膠原病には3つの大きな特徴があるといわれています。

 1つ目は、骨・関節・筋肉などの組織を結合組織と呼んでいるのですが、そこに病変の主座があるという「結合組織疾患」であること、2つ目にはさきほどお話ししましたこれらの結合組織に痛みやこわばりをきたすという「リウマチ性疾患」であること、3つ目に自己免疫の異常によって起こされた「自己免疫性疾患」であるということです。

 免疫とは本来、自分を外敵から守るために誰しもに備わっているものなのです。しかしながら、自己免疫性疾患では、何らかの原因により自分の免疫システムが破綻し、自分の免疫が過剰に発現することにより、自分自身の組織を攻撃して炎症を引き起こすということが起こっているのです。

 また、主に障害される臓器は膠原病の種類にもよりそれぞれ違うのですが、皮膚、関節、筋、腎、心、肺、消化器、神経、リンパ系、血液、目、耳などの全身にわたる多臓器が障害されうる可能性があるのも膠原病の特徴です。

――慢性的な疾患と理解していますが、詳しく教えてください。

 膠原病は、慢性の炎症性疾患であり、そのため、症状が良くなったり悪くなったりと、長期にわたって繰り返されることが少なからずあります。しかし、現在は膠原病の治療も進歩しており、ステロイドや免疫抑制剤などの治療によって症状が良くなり、そのままいい状態で過ごされている方も多いのです。一方で、いい状態を保つためには、治療を継続し続けなくてはならないという側面もあります。

 また、一般的に膠原病の患者さんの8割から9割が女性というのも、特徴的なことです。
膠原病患者が女性に多い理由は?

――なぜ女性に多い疾患でしょう?

 膠原病の種類にもよるのですが、膠原病は発症年齢と性差が割と明らかな疾患です。たとえば関節リウマチでは、発症年齢が30〜60歳で約80%が女性とされています。全身性エリテマトーデス、我々はSLEとも略して呼んでいますが、このSLEの発症好発年齢は20〜40歳と若年であり、約90%が女性に発症するとされています。

 また、全身性強皮症も30〜50歳に好発し、約70%が女性に発症というようにです。

――膠原病の原因は何でしょう?

 膠原病発症の正確な機序ははっきりとしていません。しかし、遺伝要因と環境要因の両方が関与して起こるとされています。環境要因というのは、生活習慣病や悪性腫瘍、アレルギー性疾患、感染や外傷、出産や閉経などです。

 出産や閉経後によるホルモンバランスの急な変化が関与しているかもしれないとされています。また、遺伝要因といっても、病気のなりやすさの体質が受け継がれることはありますが、両親のどちらかが膠原病だからといって、必ず子供も膠原病が発症するわけではありません。
 
――膠原病の予後は悪いのですか?

 先ほどもお話ししたように、膠原病は、慢性疾患です。ごくまれに膠原病が完治することもあるようですが、ほとんどの患者さんは病気と上手に付き合っていくことが望まれます。

 経過が長期に渡るため、治療を中断するなど緩めると、せっかく落ち着いていた病状が再燃したり、悪化したりすることもあります。専門医の元で、病気と一緒に付き合っていく覚悟で臨んでもらいたいですね。

 仕事や主産を諦めることも全くありません。多くの患者さんは、膠原病と上手に共存しながら生活をしています。
(取材・文=夏目かをる)


田中栄一(たなか・えいいち)
東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター膠原病リウマチ内科・講師。1994年、滋賀医科大学医学部卒。専門は関節リウマチのコホート研究、関節リウマチの医療経済学。