今年1月、ジャーナリストでコメンテーターの竹田圭吾さんが膵臓がんのため51歳で亡くなった。生前、その激痩せぶりに視聴者から心配の声が多く上がるなか、最後まで情報番組に出演し続けたその姿は今でも記憶に新しい。また、歌舞伎俳優の坂東三津五郎さんも昨年2月、同じく膵臓がんにより59歳で亡くなっている。
 海外に目を向けると、'11年5月、そのカリスマ性がいまだ衰えるところを知らないアップル社元CEOのスティーブ・ジョブズさん(享年59歳)の死因も膵臓がんと報じられている。このように、まだまだ働き盛りの50代から命を奪った膵臓がんとは、一体どんな病なのだろうか。

 千葉大学医学部附属病院の肝胆膵外科の吉富秀幸医師は、その特徴をこう説明する。
 「60代以上の患者さんが多く、男女比では3対2で男性が多いんです。膵臓がんの難しいところは、特定の生活習慣の人が罹りやすいと言い切れないところです。しかし、リスク要因としては喫煙、飲酒が挙げられます。まず、飲酒をされる方の中で、特に背中に痛みが出る慢性膵炎の患者さんは注意が必要です。また、喫煙者は、非喫煙者と比べ罹る確率が約3倍も高くなる。さらに、糖尿病患者さんの場合、それまでと変わらない食生活をし、薬もきちんと服用していても、突然、血糖値が不安定になる方がいます。そういった場合には、膵臓がんとしばしば診断されることがあります」

 さらに遺伝については、
 「どの遺伝子が原因かはまだ特定されていません。ただ、家族に膵臓がんを患った方がいる場合は、40代〜50代でも罹ることがあると言われています」
 と言う。

 それならば、飲酒、喫煙といった行為を控え、初期の自覚症状に気が付けば末期まで進行せずに抑えられそうなものだが、吉富医師はこう指摘する。
 「患者さんの多くが腹痛や背中の痛みを訴え、検査をして初めて膵臓がんであると診断されます。しかも、腹痛と言っても、上腹部を痛がる人もいれば、下腹部の痛みを訴える人もいてマチマチなんです。そうした痛みの他には、濃く黄色い尿が数日続き、病院でCT検査や腹部超音波検査をして発覚することもある。さらに、そういった痛みを自覚してからでは、がんが進行している場合が多いんです。ですから、早期の段階では自覚症状はほとんどない。そこが一番怖いですね」

 今年1月に国立がん研究センターなどの研究グループが発表した「がん10年生存率」という調査では、膵臓がんは4.9%と主要部位で最も低かった。
 「この調査は、がん患者約3万5000人を対象に、全国の16のがん専門病院が10年間追跡調査し、10年後の生存率をまとめたもの。ちなみに、すべてのがんの10年生存率は58.2%で、部位別の10年生存率が最も高いのは甲状腺がんの90.9%。それを筆頭に、前立腺がんや乳がん、子宮体がんが70%を超えた。これに対し、膵臓がんの他に食道がん、胆のう胆道がん、肝がんは30%未満。がんになる部位によって、これほどまで生存率が違うのです」(健康ライター)