熊本地震では韓国南部でも揺れが感じられた。九州の大きな被害に韓国内で不安が広がって地震への警戒心が高まり、メディアも警鐘を鳴らしている。写真は被災地。写真提供:ボランティア団体・華聯会。

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2016年4月29日、「熊本地震」を契機に、韓国でも地震に対する警戒心が高まっている。朝鮮半島は日本と比べて地震が少ないが、震源地から遠くない南部では揺れが感じられた。海を隔てた九州で大きな被害が出たことから不安が広がり、メディアも「安全地帯ではなくなった」「他人事ではない」などと、相次いで警鐘を鳴らしている。

韓国メディアによると、熊本を中心にマグニチュード(M)7.3、最大震度7などを観測した14日夜から16日朝にかけて、釜山市や蔚山市など南部地域を中心に約3900件の通報が消防当局などに寄せられた。釜山市では一部の高層ビルやマンションが揺れ、机の上にあった写真立てが落ちるなどしたという。

一連の地震との因果関係ははっきりしないが、同じ釜山市では16日、学生寮の建物に亀裂が見つかった。ひびは約1500人の学生が生活する建物の2階から12階の至る所にあり、学生たちは一時避難。「手抜き工事」疑惑が持ち上がり、学校側は精密安全診断と補修工事を行うことを決めた。

自治体も対応に追われ、蔚山市は一定規模以上の地震が観測された場合、すべての市民に携帯電話のショートメッセージを利用して地震発生を知らせることを決めた。上水道施設や橋などの公共施設1084カ所中、約480カ所の耐震性を20年までに高め、津波に備え、海岸における最先端の予報・警報システムも今年上半期中に設置する。

朝鮮半島は安定したユーラシアプレート上にあり、地震とは縁遠いとされてきたが、聯合ニュースは「韓国は地震安全地帯ではなくなった?」との記事を配信。韓国地質資源研究院の池憲哲(チ・ホンチョル)地震研究センター長の見方を紹介した。

この中で、同センター長は「熊本地震により朝鮮半島に直ちに被害が生じるものではない」としながらも、「今回地震が起きたところは朝鮮半島と同じプレートにあるため、数年以内にM5〜5.5の地震が発生する可能性が高い。1〜5年間は朝鮮半島に及ぼす影響を注意深く観察する必要がある」と指摘している。

延世大地球システム科学科のホン・テギョン教授も「地震が発生するためには地殻に力がたまる時間が必要だが、周辺で大きい地震が発生すれば力が加わる可能性がある。地震の時期が早まるかもしれない」とした上で、「朝鮮半島は地震が少ないからといって安心してはいけない」と注意を喚起している。

中央日報は「熊本地震、他人事でない」との社説を掲載。地震の頻度が増えているにもかかわらず、「地震を他人事と考えるため、政府の対策は空回りしている」と前置きし、「あらゆる可能性に備えて韓半島周辺地殻構造の分析、耐震設計と施工、警報体系や非常システムの構築などに積極的に取り組まなければいけない」などと強調している。

さらに同紙は別の記事で「学校施設の耐震化率は22.8パーセントにとどまる」などと建物の耐震化率の低さに言及。「熊本と南米エクアドルで発生したレベルの強震が韓国で起きた場合、相当な人命と財産被害は避けられない見通し」と警告している。(編集/日向)