29日、「国境なき記者団」がこのほど公表した2016年の「報道の自由度ランキング」で、日本は72位、韓国は70位といずれも過去最低となった。日本は5年間で61位も下落。そこには安倍政権への不信感が強くにじんでいる。資料写真。

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2016年4月29日、国際NGO「国境なき記者団」(RSF、本部・パリ)」がこのほど公表した16年の「報道の自由度ランキング」で、対象の世界180カ国・地域中、日本は72位、韓国は70位といずれも過去最低となった。中国は176位でワースト5の「指定席」に座る。中でも日本は、5年間で61位も下落。RSFの安倍政権に対する強い不信感をうかがわせている。

「報道の自由度ランキング」は、世界各国の報道機関の活動と政府による規制の状況を監視するため、02年から始まった。メディアの独立性、多様性、透明性、自主規制、インフラ、法規制などを客観的な計算式により数値化する。法規制や自主規制などが少ないほど、報道の自由度が高いとされる。

16年は1位がフィンランドで、以下オランダ、ノルウェー、デンマーク、ニュージーランドなどの順。日本を除く主要国首脳会議(G7)の参加国はドイツ16位、カナダ18位、英国38位、米国41位、フランス45位、イタリア77位となっている。アジアでは台湾51位、モンゴル60位、香港69位が日韓を上回った。

中国についてRSFは「世界の暗黒地帯」と非難。「中国の問題が指摘されて久しいが、依然として記者やブロガーの拘束数が世界で最も多い国だ。中国における報道の自由の現状はひどく、懸念すべき状況だ」としている。北朝鮮は179位で「報道の自由」とは無縁の存在になっている。最下位はエリトリア。

日本の72位は前年より11位下ダウン。「良い状況」「どちらかと言えば良い」「問題がある」「厳しい」「とても深刻」の5段階では、日本は「問題がある」とされた。それらの理由としてRSFは「14年12月に施行された特定秘密保護法が調査報道を妨げる」と問題視。「特に(安倍)首相に対する批判などで、メディアの独立性を失っている」とも指摘した。

ランキング公表に先立ち、RSFは国谷裕子さんや古舘伊知郎さん、岸井成格さんら人気ニュースキャスターの一斉降板を取り上げ、「安倍政権はメディア規制を強め、市民の知る権利を奪っている」と批判していた。こうした点も日本の順位に少なからず影響しているとみられる。

日本の順位は、02年から08年までの間、20位台から50位台で推移。民主党政権が誕生した09年は17位、10年は過去最高の11位とランキングを上げた。しかし、11年の東日本大震災に伴う福島第一原発事故で情報開示が不十分だったことなどから、12年は22位に落ち、13年53位、14年59位、15年61位と安倍政権下で下降の一途をたどっていた。

一方の韓国。02年以降、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権だった06年に最も高い31位となったが、李明博(イ・ミョンバク)政権当時の09年には69位にまで下がった。その後、12年と13年には50位にまで上がったものの、14年57位、15年60位と順位を下げ、16年は70位まで後退した。

RSFは「朴槿恵(パク・クネ)政府は批判にますます耐えられなくなり、マスコミへの干渉でマスコミの独立性を脅かしている。最長で懲役7年を言い渡される名誉毀損(きそん)罪がメディアの自己検閲の主な要因となっている」などの問題点を挙げている。(編集/日向)