神父の性的児童虐待をスクープ…オスカー受賞作『スポットライト』を出演女優が語る
 第88回アカデミー賞で脚本賞と作品賞を受賞した、実話を基に描く社会派ドラマ『スポットライト 世紀のスクープ』が公開中です。カトリック教徒が多いボストンで、神父による児童への性的虐待の真相について調査を開始した新聞記者たちの姿を重厚に映し出す同作で、唯一の女性記者サーシャに扮したレイチェル・マクアダムスが来日。

『きみに読む物語』でブレイクしたレイチェルですが、本作でアカデミー賞助演女優賞にノミネート! 演技派女優へと脱皮したレイチェルに話を聞きました。

◆作品の評価が大きな励みに

――カトリック教会の闇にメスを入れた作品です。出演への迷いはなかったのでしょうか。

レイチェル:確かに最初は出来上がった作品がどう観られるかと考えました。脚本を読んで、伝えようとしていることに同感だったけれど、その時点ではまだトム・マッカーシー監督(『扉をたたく人』、『カールじいさんの空飛ぶ家』では脚本を担当)とも話していませんでしたし。宗教に触れているから、敬虔なキリスト教徒がどんな風に感じるだろうという不安もありました。

 でも作品が出来上がって実感したのは、カトリックの信者たちのサポートでした。信者たちはカトリックとして育ち、信仰心があるけれど、いけないことはいけないと思えるバランス感覚を持っていました。それにこうした作品が大きく評価を受けたことは、とても励みになりました。

――今回演じられたサーシャは実在の人物です。演じるうえで心がけた点は?

レイチェル:可能な限り真の姿を捉えたいというプレッシャーは感じていました。その人の人生をスクリーンで見せなければいけないわけだから。

 でも同時に、ひとりひとりのキャラクターのバックグランドを掘り下げて描く時間はない。だからわたしたち役者は演じている人物のエッセンスを抽出して、その人が誰なのかという背景を感じられる演技をしなければいけませんでした。難しいことだけれど、役者にとっては素晴らしいチャレンジでもあります。

――サーシャは現場に足を運び、人々の話に耳を傾ける行動力のある女性です。ご自身との共通点はありますか?

レイチェル:ええ。物事を調べていく姿勢がすごく似ていると思います。私は役者として、彼女はジャーナリストとして、人の物語、そこにある真実にたどり着こうと掘り下げていく。そしてどうして、その人がそういった行動を取るのかという心理を理解しようとするのも似ている。サーシャ本人ともそう話したんです。

◆あらためて感じた映画の力

――レイチェルさん自身、今作でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、本作は脚本賞と作品賞を受賞しました。アカデミー賞の夜のことを教えてください。

レイチェル:とてもすばらしい一夜でした。こういった伝えるべき中身はあるけれど、決して派手ではない、そうしたすべての映画の勝利だと感じました。

 それに、作品賞を受賞したことで、アメリカでの上映館数が翌日から拡大されたんです。もちろん金色の像をもらえたことは嬉しいけれど、それだけでなく、映画によって始まった対話がもっと大きく広がっていくのだと感じてすごく嬉しかったです。

――本作を通じて、役への向き合い方や作品選びの基準など、何か変化はありましたか?

レイチェル:綴らなければいけない、知ってもらわなければいけない物語がある。そして観客はそれを待ってくれていると感じることができました。映画の力というものもすごく感じました。

 映画はちょっと難しいような話題でも対話を生むし、その対話によってなにかが始まるかもしれない。みなさんからのリアクション、支持は本当に大きな励みになったし、こうしたタイプの作品にもっと出たいと思っています。