精神科に入院していたことを告白した上原さくらさん(写真は公式ブログより)

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 2度の結婚と離婚、2013年の芸能界引退騒動以来、公の場から姿を消していたタレントの上原さくらさんが、4月26日発売の『女性自身』(光文社)でインタビューに応じている。

 その中で上原さんは、2013年からの3年間に半年以上、精神科に入院していたことを告白。「病室には鍵がかけられていて、中から開けられない」とコメントしている。おそらく「保護室」に隔離されていた期間があるのだろう。

 精神科病院はとかく「施錠されて閉じ込められる」「自由を奪われる」「管理される」というイメージが伴いがちだ。もしかしたら「暗い」「怖い」という印象すらあるかもしれない。実際、自由に出入りができない閉鎖病棟があるし、「保護室」という名の隔離室もある。

 しかし、近年の精神科病院は、ひと昔前とは事情が異なる。特に都市部のリニューアルした病院の類いは案外とモダンで、怖いイメージは払拭させられる。むしろ暖色や採光を多用し、心地よさを感じられるほどだ。

 「閉鎖」とか「隔離」という穏やかではない言葉が使われてはいるが、「幽閉」されているわけではない。閉鎖病棟の場合、たいていは病棟内にナースステーションがあり、看護士に声をかければ外出できる患者や、看護士や家族と一緒なら外出できる患者など、個々の事情に応じた対応がなされている。

 出入り用の扉は施錠されて味気ないものだが、中にはナースステーション内に扉が設置されていて、出入りのたびに看護士と言葉を交わす造りのところもある。保護室も、病状が良くないときのみの一時的な使い方が一般的だ。状態を見ながら、オープンスペースで過ごす時間を徐々に設けていく場合が多い。
私、どこもおかしくないですが、何か?

 上原さんは今回のインタビューで「『私は何もおかしくないのに、なんでここにいなきゃいけないのかな?』と思っていました」と語っている。

 精神科の場合、入院形態が5種類あり、本人の同意がなくても入院できる制度が整えられている。もちろん「入院が必要です」「はい、わかりました」と応じ、本人同意のもとに入院する『任意入院』ができれば理想的だ。

 しかし、「病識が低い、あるいは全くない」ことが症状そのものなのも、精神科の病気では大いにあり得る。つまり「入院が必要です」「私、何もおかしくないですが?」という反応だ。

 さまざまな理由で入院が必要だと医師が判断したときは、家族や後見人などの同意のもとに入院を実行できる『医療保護入院』という制度がある。実際のところ、この入院形態は利用率が高い。

 というのも、今の精神科入院は半世紀前の「一生入院」とは異なり、一時的に入院して、しっかり加療し、退院後に地域でより良く暮らすことをめざすのが基本姿勢だからだ。

 そこに賭ける気持ちを本人が持てれば『任意入院』になるが、病識がない状態の本人に代わって同意するのが『医療保護入院』だ。入院中に本人が自覚を高め、『任意入院』に切り替えて自発的に治療に取り組むようになることも多い。

 このことは上原さんの「正直、前の事務所を辞める前後のことはほとんど記憶にないんです」「振り返ると自分の状態も把握できないような状態だったのだと思います」という言葉にも表れている。

 こうした状態にあるとき、人は正常な判断能力を保てない。精神の病気とは、つまりはそういう状態に陥ることといえる。
 
 このほか『応急入院』『措置入院』『緊急措置入院』など、緊急性が高い場合に発動される入院形態もある。「衝動的にナイフを手にした」→「周囲の人が驚いて警察を呼んだ」→「ひとまず緊急入院となった」というケースは、マスコミで報じられることは少ないが日常茶飯事だ。

 一方で、精神科の入院の特徴として、必ずしも医師の診断によらず、本人の希望による入院もある。俗に「休息入院」と呼ばれ、本人が安心を求めるなどの理由で、緊急避難的に院内で過ごすものだ。

 必要なのに受け入れなかったり、必要ないのに希望したり、精神科病院の入院は一筋縄ではいかないものである。
(文=編集部)