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お茶の水女子大学(お茶大)は4月27日、紙にさまざまなパターンで切り込みを入れることでさまざまな形を実現する伝統工芸技術「切り紙」が持つ高い伸長性の物理原理をシンプルな数式で説明することに成功したと発表した。

同成果は、お茶の水女子大学 基幹研究院 奥村剛教授らの研究グループによるもので、4月27日付けの英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

切り紙構造に関しては近年、さまざまな工学的応用研究が発展してきており、たとえば切り紙を用いて、大きな伸長性を持つ電極やバッテリー、太陽電池が実現したり、グラフェンシートを切り紙構造によって柔らかくすることで極微のスケールで電磁式アクチュエータが作られたりしている。しかし、切り紙の物理原理を明らかにする研究はほとんど手つかずの状況にあった。

同研究グループは今回、ソフトマター物理学の分野で注目されている「印象派物理学」の手法に基づき、ワインボトルにかぶせる切り紙を単純化した切り紙パターンに着目。実験と理論の両面から研究を進めた結果、切り紙構造の高い伸長性は、平面内変形(切り紙が少しだけ引っ張られた場合)から平面外変形(大きく引っ張られた場合)への転移現象のおかげで実現していることを見出した。

また、この転移現象を記述する物理モデルを構築し、平面内変形と平面外変形のそれぞれについて、切り紙の柔らかさを表す「弾性率」を数式で表すことに成功した。さらに、平面内から平面外の転移が起こる条件も数式で表した。この条件は、切り紙の弾性率を表す2つの数式が入れ替わる転移条件に相当し、これによって転移点での切り紙の伸びを知ることができる。以上の数式は、実験データと良く整合性を持つことが確認されている。

今回の成果について同研究グループは、「確立された物理法則を表す数式は、いずれも驚くほどにシンプルであるため、今後の工学的応用などの技術開発の指導原理として役立つことが期待されます」とコメントしている。

(周藤瞳美)