「結婚しろ」「早く産め」ってうるせえ!同調圧力を切り裂く“オンナ武士道”のススメ
 世の中には、女性に多大な努力を強いる言説が溢れかえっている。働け、子を産め、家事をしろ。男を立てろ、男の脅威になるな、いつまでも女を捨てるな――。すべてを真に受けたら、1日24時間では到底足りないくらいのタスクである。

◆自分は“間違っている側”だと思い込む女性たち

 私が代表を務める「桃山商事」の元へ恋愛相談にやってくる女性の多くは、自分を“間違っている側”“タスクをこなせていない側”に置き、正解や方程式といったものを求める。中には、自分が何をしたいのかすら見失っている人も多い。

 社会が女性に強いている過剰なタスクやルールは、はたして誰のため、何のためのものなのだろうか。

 本書『女の解体』は、そんな風潮に対して毅然と中指を立てるエッセイ集だ。著者は、最先端のミュージックビデオやCM作品を世に紹介する映像ライターにして、ウェブメディア「messy」で女性性にまつわる人気連載を展開しているコラムニストの林永子。

 中指を立てるといっても、これは男女の不平等に異を唱えるための本ではない。一人の女性として世間の常識や圧力といったものと戦いながら、自立・自由・自尊心といったものを守り抜いてきた著者による、「自分を愛し、自分を誇れ」と高らかにうたった苛烈な檄文集だ。

◆結婚も出産も望まない、今を使い捨てるロマン

 例えば40代の独身女性である著者は、その願望が皆無なのにもかかわらず、しばしば周囲から「結婚・出産の推奨」を受けるという。その気はないといくら主張しても、「強がり言っちゃって」「諦めるのはまだ早い」「ナガコも早く産みなよ〜」といった言葉がたびたび飛んでくる……。しかし著者は、同調圧力に一切屈することなくこう言ってのける。

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恋愛には刹那的な陶酔感のみを求める。

明日以降の自分の感情に責任を持てないという理由で、結婚も出産も望まない。

ただただ今を豪快に使い捨てる。それが私のロマンである

※改行は編集部によるもの。
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 人のせいにしないし、社会のせいにもしない。自分で考え、自分で決断し、自分で責任を取る。ひたすら自分の奥へ奥へと潜り込み、そこでつかみ取った実感を徹底的に言語化していくその姿には、まるで武士道のようなストイックさを感じる。

 と書くと、極めて“マッチョ”な本に感じられ、冒頭に挙げた「女性に多大な努力を強いる言説」と何が違うのかと思われるかもしれない。確かに厳しい言葉も多いのだが、本書はそういった言説と決定的に質が異なる。そこにあるのは、「人を信頼しているかどうか」という違いだ。

◆正解は自分の“外”ではなく“中”にある

「女性に多大な努力を強いる言説」は、基本的に女性を信頼していない。だから「これをしろ」「あれをするな」と指示を出す。これは「答えはお前の外にある」と言っているのと同じで、自分を“間違っている側”に置いてしまう人は、そのメッセージを内面化してしまった結果だろう。

 一方の本書は、ひたすら「自分を見つめろ」と言う。世間の常識や他者の評価は関係ない。とにかく自分自身を見つめ、自分の「見え方」ではなく「在り方」について徹底的に考えよと訴える。本書のこの態度は、先とは逆に「答えは自分の中にある」と言っている。根本のところで、人を信頼しているのだ。ストイックで激しい言葉なのに、むしろ優しさすら帯びているのは、こういった部分に拠るところが大きい。

 そして、個人的に圧巻だったのは、女性の大半が怯える「加齢」について語った一節。40代女性として、ホルモンバランスの変化や世の風潮による戸惑いも認めた上で、著者はこう述べる。

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