中国とタイによる高速鉄道プロジェクトの建設計画に大きな変化が生じたのは周知の事実だ。タイはバンコクとナコンラチャシマの区間を中国からの借款を受けずに自己資金で建設すると発表。ラオスまで続く予定だった残りの区間の建設は延期となってしまった。(イメージ写真提供:(C)Guo Zhonghua/123RF.COM)

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 中国とタイによる高速鉄道プロジェクトの建設計画に大きな変化が生じたのは周知の事実だ。タイはバンコクとナコンラチャシマの区間を中国からの借款を受けずに自己資金で建設すると発表。ラオスまで続く予定だった残りの区間の建設は延期となってしまった。

 中国国内では、タイが急に心変わりした原因の1つは「借款の金利」についてタイ側と中国側の意見が一致しなかったためとの見方が一般的だ。しかし中国メディアの今日頭条はこのほど、問題の真の原因は中国高速鉄道に軟実力(ソフトパワー)が不足していることにあると論じている。

 中国国内の報道には「硬実力(ハードパワー)」と「軟実力(ソフトパワー)」という言葉がたびたび登場する。これはハーバード大学のジョセフ・ナイ教授が提唱した概念でであり、ハードパワーは武力、経済力、資源などを通して発揮される力であり、ソフトパワーはその国の文化や価値観などを通して発揮され、他国から理解、信頼、支持を獲得できる力のことだ。

 日本であれば、和食や漫画、アニメなどは世界に通用するソフトパワーということになる。1人の人間で例えれば、ソフトパワーはその人のコミュニケーション能力であり、ハードパワーは経済力や持ち物で計られる。人から信頼され、人を引き付けることができ、人を説得できるコミュニケーション能力を持つ人はソフトパワーがあるといえるし、経済力があって品質の高い製品を所有している人はハードパワーがあるといえる。

 記事は、中国高速鉄道のハードパワーは「まったく問題ない」と主張している。つまり高速鉄道の技術には問題がないという主張だろう。しかしソフトパワーは向上させる余地がまだあると指摘し、中国は高速鉄道の輸出に本格的に取り組み始めてから2年ほどしか経過していないため、相手国の法律や事情に合わせて物事を進める経験が不足していると分析している。

 また記事はある専門家の見解を紹介。同専門家は中国には「功を焦る」という欠点があり、国際インフラ競争において勝利を急ぐあまり、相手国としっかり協議し、調整をはかることをおろそかにしていると指摘、この欠点が数々の問題を引き起こしていると分析しており、問題ないはずのハードを活かすことができないのは、ソフトに問題があると指摘している。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)Guo Zhonghua/123RF.COM)