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●異色の組み合わせ
パソコン周辺機器などを扱う「BUFFALO」を擁するメルコホールディングスが流水麺のシマダヤを関連会社化。この異色の組み合わせはネット上でも話題となった。なぜこの2社がタッグを組むのだろうか。

○協力関係の意図は?

メルコグループは、純粋持株会社のメルコホールディングスと、パソコン周辺機器からネットワーク機器、ストレージ製品などを手掛ける連結子会社22社によって構成される。マウスやキーボードを発売するバッファローはメルコグループの中核となるメーカーだ。一方のシマダヤは、水でさっとほぐすだけで食べられるうどんやそば、そうめんなど「流水麺」で有名な企業。一見、何の関係もなさそうな2社だが、メルコホールディングスが4月15日に発表したプレスリリースによれば、メルコホールディングスがシマダヤの株式22.7%を取得し、シマダヤは2016年4月27日付で持分法適用関連会社になるという。

メルコホールディングスはこの理由として、「食の安全に対する関心が高まる中、当社のネットワーク技術、ストレージ技術を用いた製造プロセスの監視・管理システムの同社での検証実験等、より安全で高品質な食品をお客様へお届けするシステムサポートを通じ、食の安全性訴求事業化を目指す」としている。ファストフード店やインスタント焼きそばなど、食品業界で(残念ながら)時々話題になる異物混入などを防ぐ仕組みを作り、食の安全に貢献するというわけだ。

その仕組みがどういった方法で、いつごろを目安に実用化するのか、といった具体的なことはまだ何も決定していない。メルコホールディングスの広報担当者によれば「今は協力しあうことが決まった段階。まずこちらが食品製造の現場について学ぶところから」とのことだった。

●背景にはPC市場の縮小
○「食の安全」に乗り出した意味

では、なぜメルコホールディングスはこのような異業種へ挑むのか。

現在、メルコグループの売上を牽引するのはやはり周辺機器のバッファローだ。しかし、パソコン市場が停滞。それにともなって、マウスやキーボードなど周辺機器も縮小傾向からは逃れられない。ジリ貧のなか、無理にたくさん安売りしても収益性が悪化するばかり。家電量販店や代理店を通じて商品を展開するビジネスが限界にきている。そう判断したメルコホールディングスが次に期待をかけているのが、連結子会社のひとつ、バッファロー・IT・ソリューションズだ。

バッファロー・IT・ソリューションズは、個人・法人を対象にネットワークインフラの構築・工事・保守・設定サービスを提供。具体的なサービスとしては、たとえば「アパート Wi-Fi」が挙げられる。大家が回線料金を負担することで、入居者は無料でWi-Fiを使えるというもの。入居者にとって魅力的な物件にするというウリ文句で、空き物件に悩む大家へアプローチしている。今はこのアパート Wi-Fiを大幅に拡大しているところで、4月25日発表の決算短信によれば前年同期比で350%増の導入を実現、累計500棟を達成した。

パソコン周辺機器を主戦場としてきたメルコホールディングス。戦い方の変更を迫られており、ソリューション提案という収益性の高いビジネスへ舵を切りたい。食品業界に目を付けたのも、異物混入がたびたび話題になるうえ、それがメーカーにとって極めて深刻な問題だからだ。

「困っている人のところへ直接アプローチする」というスタイルは先のアパート Wi-Fiと同様。だが、食品業界という異業種で受け入れられるのはハードルが高い。そのために、実証実験という形でまずはエビデンスを作ることにした。

●そこでシマダヤが登場
○メルコグループはどんな答えを提示するのか

そこでシマダヤに白羽の矢が立ったというわけだ。

バッファローの創業者であり、現在メルコホールディングスの代表取締役会長を務める牧誠氏の実父がシマダヤ創業者の牧清雄氏。そして、シマダヤの会長である牧実氏は牧清雄氏の息子であり、牧誠氏の弟である。少々複雑だが、こういったつながりで、実証実験を共同で行っていくことになった。

この関係性があったのは偶然だが、メルコホールディングスはシマダヤを「めん製造業界のリーディングカンパニー」と評価。新たなシステムを作り上げていくうえでのパートナーとして、総合的にふさわしかったのだろう。

国民生活センターが2015年1月に発表した「食品の異物混入に関する相談の概要」によれば、食品の異物混入に関する相談は2009年度以降、累積で約16,000件。「異物混入を100%なくす」のはなかなか難しく、不可能だと指摘する人もいる。それもそのはず、これまで起こった異物混入事件を振り返ってみても、そもそも原因を特定できていないことが多い。

現段階では、メルコグループがどんな知見を生かして「食の安全」へ貢献していくのか、詳細は明らかでない。しかし、「製造プロセスの監視・管理システム」を手掛けるならば、この原因特定に寄与するような仕組みを提示してくれるのでは、と個人的には期待している。

(野山靖代)