プラハにある旧新シナゴーグ。ヨーロッパに残る最古のシナゴーグといわれる(Photo:©Alt Invest Com)

写真拡大

キリスト教、イスラム教とならぶ、世界3代一神教として知られるユダヤ教。でも、日本にいると馴染みがないのも事実です。その信仰とは? ルールは? 生活習慣は? 中東研究科の尚子先生がわかりやすく解説します。

 ユダヤ教はキリスト教、イスラム教とならんで、世界3大一神教の一つとして有名ですが、日本ではユダヤ教徒にあう機会が極端に少ないため(ユダヤ教のシナゴーグ<礼拝の場>は国内に4つあるらしいのですが)、あまり知られていないと思われます。そのため、今回はユダヤ教について、信仰の基本事項や宗教上の決まりごとなどについて、説明してみたいと思います。

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の「神」は同じ

 ユダヤ教は4000年の歴史を持つといわれています。ユダヤ教に創始者はいません。紀元前2000年ぐらいに、いわゆる旧約聖書の「創世記」に登場するアブラハムが、神(ヤハウェ)の啓示をきき、神が示した地カナン(パレスチナ)に移住を命じられたことが始まりだと考えられています。アブラハムは神の啓示に従ったために、神はアブラハムを祝福し、彼とその子孫はカナンの地を与えたとされています。彼の子孫がユダヤ人の祖と考えられています。

 神から選ばれたことが、つまり、ユダヤ教徒が「選ばれた民」として、他の民族を率いていくべき特別な使命と意味を持つのだという「選民思想」につながっていくといわれています。

 この神ヤハウェは、3大一神教の人々すべてが敬っている神で、3大宗教の神は実は同じだと考えられています。ユダヤ教ではヤハウェ、イスラム教ではアッラーと呼ばれていますが、同一の神なのです。

 キリスト教ではこの神とイエス・キリスト、聖霊の3者すべてが同一であるという立場(三位一体説)をとっているため、これら3つの宗教の神が同じ神であると認識するのが難しくなっているのです。イスラム教では神の名前を唱えますが、ユダヤ教では、畏敬の念から神の名前を唱えることはありません。

 同じ神を敬うこの3つの宗教が「啓典の民」といわれる理由は、聖典も重なっているためです。

 ユダヤ教徒は神による天地創造から始まる旧約聖書のみを聖典とし、キリスト教徒は旧約聖書とイエスの生涯と教えについて主に書かれている新約聖書の双方を、そしてイスラム教徒は旧約聖書、新約聖書、そして最後の預言者ムハンマドの言葉を記したコーランの3つを聖典としています。

 ですが、ユダヤ教は新約聖書を聖典とは認めておらず、もちろん、「旧約(古い約束という意味)」という呼び方はしません。また、同じ旧約聖書でもユダヤ教では、キリスト教徒の旧約聖書とは並び方が異なっており、トーラー(モーセ五書)、ネビイーム(預言書)、クトビーム(諸書)の3部から成立しています。さらに、旧約聖書のほかに、ユダヤ教ではモーセが伝えた口伝律法であるタルムードも聖典とされています。

 ユダヤ教は3大宗教の一つとして数えられていますが、キリスト教やイスラム教のように民族や時代を超えて信仰されているいわゆる「世界宗教」ではなく、ユダヤ民族のための「民族宗教」であると考えられています。

 そのため、ユダヤ教徒の人口は極めて限られています。ユダヤ教徒は世界中で2010年には約1400万人存在しているといわれています。内訳としてはイスラエルに600万、アメリカに600万、その他世界各国に200万と推定されています。

続きはこちら(ダイヤモンド・オンラインへの会員登録が必要な場合があります)