乳酸菌はアトピー性皮膚炎の改善にも効果が(shutterstock.com)

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 年々増え続けるアレルギー有病率――。日本人の2人に1人はなんらかのアレルギー症状に悩まされているというデータもある。なかでもアトピー性皮膚炎は、はっきりした原因が特定されておらず、なおかつ確実な治療法が見つかっていない。

 しかし、乳酸菌をとり続けることでそんなアトピー性皮膚炎も改善が期待できる。

小腸の腸管免疫を高めることがアレルギー予防に

 人の体にはもともと、害になる細菌やウイルス、物質などを排除するための免疫システムが備わっている。もちろん、これは体を守るためだが、この免疫システムが食物や花粉といった物質にまで過剰に反応すると、様々なアレルギー症状をひき起こす。

 まず、外部から侵入してきた物質(抗原)に対して対抗する物質(抗体)を作って、抗体が抗原を攻撃することで、体に病気が起こるのを未然に防ぐことができるのが免疫だ。

 アレルギーは、抗体が抗原に過剰に反応して体に不快な症状を起こしたり、花粉症やアトピー性皮膚炎、そのほかいろいろな病気の原因となる。なぜ、本来無害であるはずの特定の物質に過剰に反応してしまうのか、そのメカニズムは十分にはわかっていない。

 ただ、全身の免疫細胞の約60%が集まって異物から細胞を守る役割を果たしている小腸の腸管免疫を高めることが、アレルギーの予防に効果があることは解明されてきている。

 人間が食事をするときには、口から食物とともに様々な細菌や微生物が入り込んでくる。口や胃、腸からはそのような細菌や微生物を排除するための殺菌酵素を含む粘液が分泌されるが、それらの第一関門が突破されたとき、マクロファージなどの免疫部隊が出動して細菌と戦うことになる。

 そのような事態に備えて、小腸にはバイエル板というリンパ節の集合体があり、その下の腸管膜リンパ節には、多くのリンパ球やマクロファージが待機している。小腸のバイエル板はまさに免疫の総司令部といえる器官なのだ。

腸管免疫を高める作用でアレルギーの予防・改善へ

 第一関門を突破した細菌やウイルスは、体内をパトロールしているマクロファージをはじめとした免疫部隊に発見され、情報の司令塔であるヘルパーT細胞に伝えられる。ヘルパーT細胞は、任務に最適な免疫細胞や抗体に対して、攻撃命令を下す。

 花粉症の回(連載・第10回)で説明したように、ヘルパーT細胞には、Th1細胞とTh2細胞の2種類があり、Th1細胞は主に感染などの免疫を担当し、Th2細胞は抗体を中心とする細胞を担当している。

 このヘルパーT細胞がバランスよく働いている分には問題がないが、何らかの原因でTh2細胞の働きが強くなると、アレルギーが発症する。

 悪玉菌が多くなった腸では、Th1細胞よりもTh2細胞が有意に働くことが知られている。乳酸菌は、腸管免疫を高め、腸の善玉菌を増やす役割を果たす作用があるため、アレルギーの予防や改善に役に立つ。
乳酸菌を継続的にとることでアトピー性皮膚炎の改善を示すデータが

 実際、乳酸菌を摂取することでアトピー性皮膚炎の発症率を抑えられるというデータいくつも発表されている。

 たとえば、両親がアレルギー体質だと一般的に子どもにもその体質が遺伝する確率は高くなることが知られている。

 しかし、フィンランドでの実験では、アトピー性皮膚炎の家族歴のある妊婦を対象に、出産1カ月前から出産6カ月後まで乳酸菌を継続的に摂取したグループは非摂取グループに比べ子どものアトピー性皮膚炎の発症率が半減し、しかもその効果が7年経過しても効果があることが示された。

 さらにアトピー症状を持つ小児に対しても乳酸菌の継続的な摂取は症状の改善に効果があることも証明されている。アトピー性皮膚炎の症状を持つ子どもに8週間乳酸菌を摂取させたところ、その多くに症状やかゆみの改善がみられたという。

 アトピー性皮膚炎に特に効果があるとされる乳酸菌は、LGG菌やL-92株、KW3110株、K-2株、L-55株などである。

後藤利夫(ごとう・としお)
1988年 東京大学医学部卒業。1992年東京大学附属病院内科助手。現在、新宿大腸クリニック院長。「大腸がん撲滅」を目標に独自の無麻酔・無痛大腸内視鏡検査法を開発。大腸内視鏡40000件以上無事故の大腸内視鏡のマイスター医師。一般社団法人・食と健康協会顧問。著作に『あなたの知らない乳酸菌力』(小学館)、『その便秘こそ大腸ガンの黄信号』(祥伝社)、『腸イキイキ健康法』(主婦と生活社)、『腸をきれいにする特効法101』(主婦と生活社)、『腸いきいき健康ジュース』など多数。大腸がんのインターネット無料相談も実施中。
新宿大腸クリニック公式HP http://www.daicho-clinic.com