“別れ”が余命に影響する!?(shutterstock.com)

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 今春スタートしたドラマでは、奇しくも独身美女が結婚を目指す恋愛物語が2本始まった。

 主人公が34歳教師(松下奈緒)の『早子先生、結婚するって本当ですか?』(フジテレビ系)、39歳開業医(中谷美紀)の『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』(TBS系)。

 いずれも、生涯のパートナーを求めて奮闘する姿が描かれるコメディタッチ、妙齢の女性視聴者の共感を得そうだ。

 だが、結婚はあくまで通過点、その後の妊娠・出産......とイベントは続く。

 当サイトでも、「独身女性の3割が結婚に消極的なのは問題か? 産まない選択の背後にあるものとは」http://healthpress.jp/2015/07/31.html、「山口智子さんの『産まない選択』に励まされた女性たち〜一方で卵子の凍結保存を推進する時代?」http://healthpress.jp/2016/03/post-2322.html とその難しさを伝えてきた。

 さて今回は、さらにその先のイベント。パートナーとの離別・死別。既婚男女が、離別・死別した後の、病症リスクに関する調査報告である。

 日本人の生活習慣とさまざまな病気との関係を究明し、生活習慣病の予防や健康寿命の延伸に役立てるための多目的コホート研究(JPHC研究:Japan Public Health Center-based prospective Study)をご存じだろうか。

既婚者から非婚者への環境変化が高リスク

 今年3月28日、国立がん研究センターの予防研究グループは、約15年に渡って追跡調査した研究の結果を公表した。報告したのは、「婚姻状況の変化(既婚者から非婚者へ)」と「脳卒中発症のリスク」との関連である。

 今回の対象は、研究開始時の1990年(および1993年)に、全国9カ所の保健所管内で既婚者だった40~69歳の男女約5万人。調査開始から遡ること5年前に配偶者と同居(=既婚)していた対象者のみが選ばれ、その後の婚姻状況の変化が及ぼした影響が算定された。

 結果、平均で約15年間の追跡調査期間中、2134人の脳卒中発症が確認され、婚姻状況に変化が生じた人々ほど同症のリスクが高い傾向が読み取れた。

 なかでも「脳出血」のリスクが濃く、これらの関連に「男女差」は見られないという事実も判明したという。
平均余命自体が最下位を物語る過去資料

 そこで、思い起こされたのが知る人ぞ知る、『配偶関係別生命表』という興味深い過去の資料だ。

 これは国立社会保障・人口問題研究所が発行する雑誌『人口問題研究』(1999年)に載ったもの。日本人の男女を’朸者あり、配偶者と死別、G朸者と離別、ぬずГ4グループに分類し、それぞれの「平均余命」を算出して公表した。

 基礎データは、国勢調査や人口動態統計を用いつつ、平均余命の算出という難儀な作業の特性上、分析対象期間も1955年〜1995年といささか古めだ。

 しかし、さらに20年超の歳月が流れた現在から当時の報告を読むと、それはそれで興味津々の数字が並ぶ。

 たとえば「男女の50歳時の配偶関係別にみた平均余命」(1995年)という掲載表によれば、男性陣が長い順に´↓きと「未婚組(21.78歳)」よりも「離別組(20.85歳)」が短く、「有配偶組(29.51歳)」と比べると、9歳もの開きが際立つ。

 ちなみに、女性陣の場合は´↓い僚腓如巷間いわれる未婚組の余命が最も短い。35.73歳と比して31.30歳と、男性層(既婚・非婚)ほどの余命格差は認められていない。

 さらに、「配偶関係別死因別死亡確率」(1995年)で4グループの各特徴を閲覧すると、の離別組男性陣の場合は「自殺」と「肝硬変」がいずれも死因の首位。

 それも、他の3群比でかなり%の高いのが歴然だ(同・女性陣は自殺が2位、肝硬変が首位だが%上の大差はない)。

 こうして、婚姻状況の変化がアルコール摂取量を増やした結果、循環器系の発症リスクを高める。

 あるいは居住形態や経済環境が一変し、人間関係の複雑さも絡まってストレスを抱えやすい(最悪例は自殺へ)という傾向は、過去にも報告されてきた。

「脳卒中タイプ別」はほぼ未踏な研究分野

 だが、今回のJPHC報告で明かされた「脳卒中発症リスクとの関連」は稀な主題、とりわけ「脳卒中タイプ別の検討」はほとんど未踏な研究分野だったという。

 しかも前述のとおり、これらの関連に「男女差」が認められないという結果報告が興味深い。

 もし、前掲『配偶関係別生命表』の最新版があれば、この20年間の4群の余命変化や死因別の違いが俯瞰できるのだろうが、さて実態はどうなのだろうか。

 今回の成果を踏まえて研究班は今後、脳卒中発症のハイリスク層を把握するに際して、患者をとりまく、もろもろの環境(変化)を考慮する必要性があることを示せたとしている。

 昨年公表された、調査レポート『定着する中高年の離婚〜多様化するライフコースの選択〜』(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)によれば、離婚件数のピークは2002年(28万9836組)。その後は減少傾向にあるらしい。

 なかでも2000年代以降は、「婚姻期間10年未満の夫妻の離婚」が減少しているものの、いわゆる「熟年離婚」は横ばいが続いており、40歳以上の離婚が定着。

 とりわけ、1960年代後半〜1970年代前半生まれの世代、比較的な離婚に至りやすい傾向があるという。

 今年は1966年生まれがまさに満50歳を迎えるが、彼ら熟年離婚世代の「男女の50歳時の配偶関係別にみた平均余命」が編まれたら一体、どんな数字が弾き出されるのやら......。
(文=編集部)